2017年6月7日水曜日

羽ばたけ家事使用人の少女たち

 シャプラニール=市民による海外協力の会は、バングラデシュやネパールなどの南アジアで「取り残された人々」の支援活動を展開しているNGOだ。今年(2017年)で創立45年を迎える。
 創立メンバーの一人がいわき市出身で学校仲間だった。そのため、創立時からシャプラにかかわっている(カミサンが会員になり、私がマンスリーサポーターになったのはあとだが)。

 東日本大震災・原発事故が起きると、シャプラはすぐ緊急支援を始めた。茨城県北部から北上していわきに入り、以後5年間、平で交流スペース「ぶらっと」を運営した。初めての国内支援だった。

 おととい(6月5日)の晩、シャプラの全国キャラバン「羽ばたけ家事使用人の少女たち~いわきから考える」(同会いわき連絡会主催)が、平・三町目のアートスペースもりたか屋で開かれた=写真。「ぶらっと」を介してシャプラとつながった人たちを中心に、30人余が参加した。カレーライス(カレーはインド料理店マユール製)も好評だった。

 シャプラが南アジアで展開している事業のひとつに、家事労働に従事しなくてはならなくなった少女たちの支援プログラムがある。6月12日はILO(国際労働機関)が定めた「児童労働反対世界デー」。それを踏まえて、シャプラは6月を児童労働反対月間として、全国キャラバンを実施している。

 児童労働削減と教育は切り離せない。子どもらしく生きること、そのためには読み書きの学びや遊び、経験・感情の共有などが大切になる。

 シャプラの現地スタッフであるマフザ・パルビンさんが現状と課題を報告した。ベンガル語の通訳は福島市で震災支援活動を展開している元シャプラスタッフが担当した。映像と同時進行のために、親が娘を働きに出す理由や雇用主の意識、長時間労働の実態などがよくわかった。

「百聞は一見に如(し)かず」。いやいや、その前段として「百読は一聞に如かず」だ。シャプラの会報「南の風」を読んでわかっていたつもりでも、細部には想像力が届いていなかった。なかなか「一見」がかなわない身としては、貴重な現場の声=「一聞」だった。南の国の喧騒と熱く湿った空気、そのなかで休みなく働く少女……。「遠い」が少し「近い」に変わった。

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