5年おきに中学校の同級会が開かれる。9年前の還暦同級会では、配偶者と離別、あるいは死別したと語る同級生がいた。でも、一様に「いろいろあったが、元気でやっている」と明るかった。こういうときに決まって思い浮かぶ句がある。「花すすき誰もかなしみもち笑顔」。作者はいわき市の俳人・故志摩みどりさんだ。
きのう(6月24日)も朝ドラ「ひよっこ」を見ながら、「誰もかなしみもち笑顔」を舌頭でころがしていた。登場人物がそれぞれに心配や悩みを抱えて暮らしている。主人公の谷田部みね子自身、父親が行方不明のままだ。ラストでみね子が、どこにいるかわからぬ父親に向かって語りかける――お父さん、みんないろいろあっけど、笑って生きています。
みね子は「奥茨城村」の出身。高校を卒業すると、東京・向島のトランジスタラジオ工場に就職したが、オリンピック景気の反動で会社が倒産する。一緒に働いていた乙女寮の仲間たちは帰郷、あるいは転職する。みね子の妹分、「小名浜中」卒の青天目澄子(なばためすみこ)は、両国のせっけん工場へ。
みね子の新しい職場は、父親も客になったことがあるレストラン。そばのアパートから通う。このアパート「あかね荘」の管理人も住人も個性的だ。
あしたからの第13週「ビートルズがやって来る」は、もちろん昭和41年6月29日~7月3日のビートルズ来日公演を下敷きにしている。私が数え18歳のときで、高専の学生寮でも後輩たちが大騒ぎしていた。1人はチケットを手に入れて武道館へ聴きに行った。今から51年前の、忘れがたい青春のひとコマ――。
おっと、いつの間にか「あかね荘」ほかの新しい人間に引っぱられて、乙女たち、なかでも青天目澄子のことを忘れかけていた。澄子は元気か。
もう半月余り前になる。いわき民報が6月8日付1面に、青天目澄子役の女優松本穂香さんのインタビュー記事を載せた=写真。本人は大阪出身。いわき弁でしゃべるのが難しかったという。「平らな調子で話すことを意識」した。好きな言葉は「ひゃっこい」(冷たい)。ますます青天目澄子が身近に感じられるようになったのだが、再登場はいつのことやら。
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