年に一度は胃カメラを飲み、大腸の内視鏡検査を受けた方がいいというので、先日、いわき市立総合磐城共立病院へ行って検査日を予約した。敷地内で新病棟の建設が進められている。タワークレーンが2基そびえていた=写真。
クレーンのオペレーターを相手に、組み上げつつある鉄骨の上でとび職人が「ゴーヘー」、あるいは「スラー」なんて合図をしているに違いない。
前日の朝、BSプレミアムで2012年放送の「東京スカイツリーのすべて」前編をチラ見した。タワークレーンを紹介するコーナーでは、「ゴーヘー」と「スラー」の用語解説もあった。初めて語源を知った。
はるか昔の10代後半、日本で最初の超高層ビル「霞が関ビル」の建設現場などでアルバイトをした。そのとき、「ゴーヘー」「スラー」を初めて聞いた。レッカー車の“手子(てこ)”として「ゴーヘー」「スラー」などと合図をした記憶もある。「ちょいスラー」という言葉が耳にこびりついている。
「ゴーヘー」は「go ahead(ゴー・アヘッド=進む)」からきているという。意味は「巻き上げる」。「スラー」は「slacken(スラッケン=緩める)」で、「巻き下げる」ときに使う。「ちょいスラー」は「ゆっくり巻き下げる」。そういえば、腕でも「上げる」(手のひらを上にして上に振る)、「下げる」(手の甲を上にして下に振る)をやった記憶がある。
朝ドラの「ひよっこ」が今、私が17歳(青天目澄子の1歳上)だったころの東京を舞台にしている。店の看板や壁の張り紙を見ただけでも、当時の記憶がよみがえる。乙女たちの合言葉は「がんばろう」「がんばっぺ」。がんばれば必ずいい結果が出る、と信じられていた「ゴー・アヘッド!(前進!)」の時代。至る所で超高層ビルが建ち始め、「ゴーヘー」「スラー」が使われていたはずだ。
病院へ検査の予約に行った翌日には、定例の飲み会があった。一人が、浜の言葉をまとめた昔の冊子を入手し、コピーをしたのを見せてくれた。なかに巻き網漁船にからんで「ゴーヘー、マキ」という言葉があった。「このゴーヘーは、たぶんゴー・アヘッドからきている」と仕入れたばかりの知識を披露する。
さらに検索したら、船舶用語(ゴーヘー=前進)がクレーンの合図用語に転化したらしいことがわかった。漁業のまち・気仙沼市には震災からの創造的復興をめざす組織として「ゴーヘイ!気仙沼の会」がある。前に進め!気仙沼。同じように、「ゴーヘー!いわき」があってもいいわけだ。
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