「きょうは忙しいからあしたにしよう」。自分のことなら先送りできても、ネギには通用しない。ネギ坊主を刈り取る時期がある。干して種を採る時期がある。
夏井川渓谷の隠居の庭で昔野菜の三春ネギを栽培している。先週の日曜日(6月18日)、ネギ坊主を見たら黒い種がのぞいていた。刈り取るサインだ。種がこぼれる前にネギ坊主を回収し、レジ袋に入れてわが家の軒下で陰干しをした。
10日後。乾燥が進んだので、ネギ坊主の種の殻を軽くもみ、種と殻・ごみを選り分ける。種選りはしかし、それで終わらない。さらに中身のない種や細かいごみを除去しないといけない。
まだ若いとき、平に住む篤農家の塩脩一さんからごみの除去法を学んだ。モノの本には“風選(ふうせん)”をするように書いてあるが、これが難しい。口でフーフーやると、殻やごみだけでなく種まで飛んでしまう。“水選(すいせん)”にしてからは、種選りが簡単になった。
ボウルに金ザルを重ね、殻やごみ、土と一緒にネギの種をザルにあける。そこへ水をたっぷり張ると土はボウルの底に沈み、種はザルの底に残る。殻や中身のない種は軽いので浮く。浮いた種は発芽しないから、容赦なく殻やごみと一緒に捨てる。
あとは新聞紙に種を広げ、一晩軒下に置く。翌朝にはサラサラに乾いているので、これを乾燥剤とともに小瓶に入れて、秋の種まき時期(三春ネギは秋まき)まで冷蔵庫で保管すればいい。ネギの種は高温と湿気に弱い。2、3年、それで保存に失敗した。たまたま冷蔵庫で眠らせたら、発芽に成功したのだった。
今年(2017年)もひとまず三春ネギの種を確保できた=写真、昔野菜のいのちをつなぐことができた、という安心感が広がる。(ネギ以外では、“水選”禁物というものもあるらしいので注意を)
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