いわき語でいえば、「ふっつぇ」。「どこからともなく種が飛んできて、知らぬ間に自然に生えること」(いわき市教委編『いわきの方言調査報告書』2003年)をいう。
加賀千代女(1703~75年)が詠んだ「朝顔につるべ取られてもらひ水」も、“ふっつぇ朝顔”だろう。
昔(といっても半世紀前の中山間地の話だが)、手押しポンプが普及するなかで、家によっては井戸から水をくんだ。直接、つるべ(桶)を井戸に落としてくみ上げるか、柱を立てて滑車をつるし、それを利用してつるべを上げ下げした。千代女の句は、そのつるべに朝顔のつるが巻いていたから、つるを切るのがかわいそうになって近所へ水をもらいに行った、というものだ。
一日でつるべを巻くほどつるが伸びるとは思えない。ふっつぇ朝顔はせいぜい数センチ。千代女、あるいはその家の主人は何日か家を留守にしたのではないか――夏休みに朝顔を観察した子どもでなくても、そんな疑問がわく。
ま、それはさておき、今年(2018年)のわが家のど根性朝顔は、歩道ではなく、自宅西側軒下のビワの木のそばで芽を出した。今、ビワの木でビワの花のように朝顔が咲き誇っている=写真。
ビワもまた植えた覚えはない。だれかにもらったビワの実を食べ、種を庭にポイとやったら芽が出て育った。しかし、先々のことを考えて、幼木のうちに始末した。西側軒下のビワはいい窓隠しにもなるので、そのままにしておいたら実をつけるようになった。ときどきは剪定する。ちょうど剪定の具合がよかったのか、朝顔はつるを枝に巻きつけて、子づるも出して花をいっぱい咲かせた。
「朝顔につるべとられてもらひ水」にならって、朝顔がビワの木を借りて花を咲かせた、ということを五七五で表現したいのだが……。芸能人が出演する才能査定番組「プレバト」の最下位レベルなので、よした。
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