やや広いスペースに出た。巨大な花崗岩が林内に散見される。あとで地理院地図で確かめると、標高は250メートル前後。山塊そのものは700メートルを超えるので、麓に近い。とはいえ、鬱蒼として見通しがきかない。独りで入山するのは禁物だ。ま、そんな環境だからキノコが生えるのだが。
途中に鉄製のイノシシの箱罠があった。イノシシがラッセルしたあともあった。イノシシの領分に入り込んだわけだ。日中だからイノシシは出ない、とはかぎらない。「クマは?」。心配する人がいたが、それはさすがにいない。
北側斜面の林に入る。ただし、すぐ上の尾根を越えないこと――地形に詳しい会員が注意した。が、林床を見ながら斜面を上り下りするうちに、つい尾根を越えてしまうことがある。同じ車の相乗り組の1人がそうなった。
私は、林には入らず、林道を行ったり来たりして写真を撮るだけにした。しばらくたって、林から下りてきた、やはり同じ相乗り組の一人と一緒になる。その人のケータイが鳴った。別の相乗り組の人からだった。どこにいるかわからなくなったという。私も加わって名前を呼ぶと、やや遠くから声が返ってきた。それでも、林道に姿を見せるまで10分以上はかかった。
林道へ入る前、採集場所までのルートを記した地図を渡された。ケータイのほかに磁石を持っていれば、北へ入りすぎたことがわかるはず。私も観察会には磁石を持参していたが、今回は林道を歩くだけと決めて持って行かなかった。奥山・里山に限らず、キノコ採集には磁石が欠かせない。
さて、最初の場所での観察が終わったあと、参加者が採集したキノコをのぞいて回ったが、だいたいは「夏キノコ」だった。食菌としてはヤマドリタケモドキ、チチタケ、ナラタケモドキなど。「アオネノヤマイグチ?」のように、割いてみると青変する不明菌もあった=写真左。
今年(2018年)の夏は高温・乾燥の状態が続き、梅雨キノコも夏キノコも見なかった。ここにきて林床が湿りを帯び、菌糸の活動が活発になった。けっこうな数のキノコが採れた。
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