2018年9月25日火曜日

秋の彼岸の墓参り

 おととい(9月23日)は秋分の日。午前中は久之浜・大久地区の「東日本大震災追悼伝承之碑」除幕式に参加し、午後はカミサンの実家へ出かけて墓参りをした。振替休日のきのうも、午後、「平・三町目 十一屋」小島(こじま)家ほかの墓参りをした。小島家の血を引く知人が訪ねて来たのがきっかけだ。
十一屋が登場する、不破俊輔・福島宜慶の小説『坊主持ちの旅――江正敏と天田愚庵』(北海道出版企画センター、2015年)は、心の動き以外は事実に基づいて組み立てられているようだ。

それによると、小島家は幕府に仕えた士族で、磐城平藩主安藤信正の引きで平城下の三町目に旅館・雑貨・薬種・呉服などの店を出した。21歳の新島襄が函館から密航してアメリカへ留学する途中、磐城平の城下に寄ってこの十一屋に泊まっている。大正時代には詩人山村暮鳥と十一屋の大番頭さんが昵懇(じっこん)の間柄になった。いわきの幕末~近代史を調べるうえで十一屋は欠かせないスポットだ。

好間町下好間字大舘~平の「寺町」に、カミサンの実家の菩提寺がある。小島家の菩提寺もその一角にある。連休最後のきのう午前、吉野せいの「洟をたらした神」の注釈づくりをしていて、1歳にならずに死んだ吉野義也(三野混沌)・せいの娘・梨花が埋葬された“父ちゃんの生家の平窪の墓地”がどこか調べていたところだった。

知人の話では、参道をはさんだ小島家の墓=写真=の向かいに、吉野夫妻の盟友・猪狩満直家の墓がある。せっかくの秋の彼岸、小島家の墓にも猪狩家の墓にも線香をあげたい、ついでに吉野家の墓にも――日ごろ、ああでもないこうでもないと勝手に“対話”している相手に感謝の気持ちを添えて。

やはり、百聞は一見にしかず、だった。梨花が両親のもとに戻っていた。墓が改装された際、梨花の弟である当主がそうしたのだろう。「よかったな、梨花」。なんとなくほっかりした気分になった。

帰宅すると、5時を過ぎていた。きのうが中秋の名月」、十五夜であることをすっかり忘れていた。気づいて東の空を見たときにはすでに雲に覆われていた。夜8時、黒雲といわし雲の間に名月が輝いていた。

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