月に3回、回覧資料を区の役員さん宅に届ける。バスが通る昔の街道(旧道)沿いにあるわが家と違って、いずれも静かな住宅地にある。迷路のように張り巡らされた細道を行ったり来たりする。
ある日、車の前を横切って、そばの家の軒下にある箱に止まった鳥がいる=写真。頭とのど、背中が暗青色、胸と腹がレンガ色をしている。雄のイソヒヨドリだった。
イソヒヨドリは名前に「イソ」(磯)が付くように、もともとは海岸一帯に生息する野鳥だ。それがいつのころからか、海岸から5キロ、あるいは10キロほど入った内陸でも見られるようになった。
ブログを始めた平成20(2008)年以降では、同年12月、同22年1月と5月、イソヒヨドリについて触れている。その抜粋。
――朝と晩、夏井川の堤防を散歩していたころ、イソヒヨドリがふわりと現れて、そばの工場の屋根に止まった。雌だった。
平市街にもいる。本町通りの東部で、さらにそこから少し離れた城東のマルト付近でイソヒヨドリを見た。
堤防そばの工場では、雄が屋根のすきまに消えるのを目撃した。工場を海岸の崖とみなして、中に巣をかけたのだろう――。
地べた近くに止まったイソヒヨドリを見ながら、そんなことを思い出しているうちに、現実に戻った。鳥は、こんなときこそが危ないのではないか。
わが家の縁側をねぐらの一つにしている、トラの「さくら猫」(不妊・去勢手術が行われ、耳にV字の切れ込みがある猫)が、ときどきネズミや鳥を捕まえてカミサンに見せる。「キャーッ」となるのでわかる。
カミサンはこのトラを「ゴン」と呼んでいる。ゴンがわが家の庭に現れるようになってから、ざっと2年がたつだろうか。最初は野鳥のえさが目当てだったらしい。
カミサンが鳥とは別に、ゴンにも残飯を分けてやるようになった(今ではキャットフードをスーパーから買ってくる)。
そのうち、縁側に段ボール箱を置いて、中に古いシーツを敷いたら、いつの間にかそこで一夜を明かすようになった。
といっても、毎夜ではない。別のところにもねぐらがあるらしい。一帯を巡り歩いているうちに、「本宅」のほかに「別宅」を確保した、そんな感じだ。
床下にはネズミが棲(す)んでいるようだ。あるとき、勝手口に目をやったら、床下に逃げ込む小動物がいた。ゴンは先刻承知のようで、ときどき床下にもぐりこむ。ここはゴンにまかせるしかない。
私はどちらかというと、ゴンには距離を置いていた。が、ネズミを退治してもらわないといけない。その分もみ手をして近づくと、向こうも「ニャ~」とあいさつをし、ズボンの裾にまとわりつくようになった。
先日はネズミの代わりに、イソではなくヒヨドリが玄関の前で死んでいた。「ゴンがやったな」とそのときは思ったのだが……。
このブログを書いているうちに、はたと思い当たった。羽がむしられ、首がちょん切られていた。ここまで激しく攻めるのは猛禽ではないか。ゴンではなく、チョウゲンボウの精悍(せいかん)な顔が思い浮かんだ。
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