2024年1月31日水曜日

中三坂にもクマが

                               
 いわき市は先日(1月24日)、ツキノワグマに関する注意情報を出した。併せて、市民からの通報内容とその処理概要も一覧にまとめた。

 直接には1月22日、三和町中三坂字湯ノ向地内でクマが目撃され、付近の畑でクマのものと思われる足跡が確認されたことが大きい。

 1月25日付のいわき民報=写真=によれば、狩猟免許を持つ住民が同20日午後3時ごろ、湯ノ向地内でクマ1頭を目撃した。体長は約80センチだった。

 通報を受けて市が調べたところ、目撃場所近くの畑で15センチほどの動物の足跡が見つかった。写真の提供を受けた県は、ツキノワグマの可能性が極めて高いとしている。

 いわき市内では去年(2023年)11月に遠野町深山田地内でツキノワグマの糞(ふん)らしいものが見つかり、新聞・テレビが報じた。

 遠野町と三和町は同じ山間部で隣り合っている。深山田と中三坂は直線距離にしてざっと20キロ。深山田に現れたクマが中三坂に移動したとしても不思議ではない。が、市の見解はちょっと違うようだ。

 令和5年度の「クマと思われる通報」一覧によると、去年10月23日から今年1月22日まで、12件の通報があった。

 内容は「クマらしいものを目撃した」「クマの糞ではないか」「クマの爪痕ではないか」といったもので、クマの可能性が大きいものは中三坂の1件だけだった。

深山田については、クマの痕跡(足跡や爪痕)は確認できなかった。別の日に通報のあった糞も、ハクビシンのものらしいということだった。

阿武隈高地の田村市で令和3(2021)年初夏、ツキノワグマが捕獲されたことがある。拙ブログを要約・紹介する。

――田村市船引町永谷の山林で5月19日、ツキノワグマが捕獲されたというニュースには仰天した。

同じ市の、船引の隣町で生まれ育った。グーグルアースで調べたら、永谷地区はJR磐越東線磐城常葉駅の西方ではないか。

ある年の春、実家からの帰り、船引町から国道349号に入って「小沢の桜」を見た。その先に永谷地区がある。

永谷地区の西端を磐越道がかすめる。それよりちょっと西側を県道郡山大越線が延びる。

いわき市から国道49号を利用して郡山市立美術館へ行くと、だいたいはこの県道~国道349号を経由して帰る。

永谷地区は「田村富士」と呼ばれる片曽根山(718メートル)の南麓に広がる。水田地帯を小丘群が取り囲んでいる。阿武隈高地の分水嶺から西側に特有の、穏やかな「準平原」だ。

クマはイノシシ用の罠(写真を見る限り箱罠だろう)にかかっていた。皮肉といえば皮肉だが、それで阿武隈高地にもクマが生息していることがわかった。

「阿武隈の山にはクマはいない」。昔からそういわれ、私もそう思ってきたが、最近はあちこちで姿や足跡が目撃されるようになった――。

田村市のクマ捕獲から2年半、中三坂のクマ情報にあらためて自然界の異変を思い知らされた。

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