1月の中旬はわりと暖かかった。朝は石油ストーブとヒーターをつけていても、やがてヒーターを止め、午後にはストーブを消す。そんな日が続いた。
気分転換を兼ねて庭へ出る。青空が広がっている。風がないので寒さはあまり感じない。
さすがに地面には緑が少ない。そのなかで、スイセンがつぼみをふくらませていた。常緑のヤツデは、数えると7本もあった。
ヤツデだけではない。シュロらしいものが細長い葉をいっぱい付けている=写真。そばにはアオキらしい幼木も。
シュロは勝手に生えてくるものなのだろうか――。ネットで調べると、鳥が種を運び、温暖化の影響で北に分布域を広げていることがわかった。
シュロにはワジュロ(和棕櫚)とトウジュロ(唐棕櫚)があるが、ここでは区別しないで、単にシュロと呼ぶ。
シュロが増えているわけは? NPO法人環境カウンセラー千葉県協議会が平成20(2008)年度に地域教材として作成した「シュロと環境変化」にその答えが載っている。
それによると、シュロはヤシ科の植物で、日本では南九州に自生する。暖地の庭園などに洋風樹木として植栽される。
冬、青黒く熟した果実が小鳥のえさになる。この小鳥が森や公園、住宅地を巡っているうちに、フンと一緒に種を落とす。
シュロは温度が4度以上でないと発芽しないそうだ。その生長速度は、関東付近では10年間で30センチといわれてきた。
ある地点の調査結果として、①生育場所は東~南の暖地に限られる②丈の高さは20センチ以下のものがほとんど(10年以内に爆発的に増えた)③発芽場所は温度が4度以上(10年間の温度上昇は地球温暖化によるものと考えられる)――などがわかった。
これはざっと15年前の千葉県の状況だから、シュロはさらに数を増やし、北へと分布域を広げているのではないだろうか。
わが家の庭のシュロ(らしいもの)は、幹がまだほとんど形成されていない。代わりに、茶色い繊維状のものが地上約10センチまで見られる。葉柄はそこから伸びている。この繊維状のモジャモジャが樹皮になるらしい。
西日本ではシュロを栽培し、このモジャモジャを縄に加工した。いわゆる「しゅろ縄」。「しゅろ箒(ほうき)」もつくられた。
千葉県の例からいえば、わが家の庭のシュロは芽生えて2~3年といったところか。しかし、南隣にある義弟の家(平屋)の庭のシュロは……。
わが家の茶の間から義弟の家を眺めていて気づいたのだが、屋根を超えてシュロの葉らしいものが見える。
確かめたら、そうだった。シュロの木が1本、モジャモジャの繊維に包まれて立っていた。幹の高さはざっと4メートル。もう何十年も前に芽生えたようだ。これも鳥が媒介したとしたら、地域温暖化はかなり前から始まっていたことになる。
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