東北地方の太平洋側南端に位置するいわき地方は、冬は晴れて穏やかな日が多い。ところが、1月21日の日曜日は暴風雨、そして4日たった25日は暴風に見舞われた。
23日午後4時前に発表された風雪注意報が25日午前10時過ぎに解除され、代わって強風注意報が発表される。それが正午過ぎには暴風警報に切り替わった。
前夜、テレビの気象予報士が解説していたので、そうなることはある程度わかっていたが、やはり現実は想像を超える。
茶の間で昼寝をしていると、風のうなり声が耳に飛び込んで来る。ガラス戸がガタガタ鳴る。
そのうち屋根がフワッと持っていかれるのではないか、木が倒れるのではないか、といった不安が募るほどに風の勢いが増した。
1時半過ぎ、家(米屋)の前に飾っておいた鉢植えが歩道に倒れ、鉢が割れてコノテガシワの根っこがむき出しになった=写真。
風が吹き荒れる中、夫婦で片付けていると、フワッと体が吹き飛ばされそうになった。なんともすさまじい力だ。
「西高東低」の冬型の気圧配置になると、決まって天空には西から東に川が流れるイメージが浮かぶ。
川が標高の高いところ(山)から低いところ(平地)へ流れるように、空気も気圧の高いところから低いところへ流れる。
1月24~25日の場合は、日本列島付近にある等圧線が狭くて縦縞模様になっていた。気圧の高低差がきついので、北日本を中心に暴風が吹き荒れると、テレビが解説していた。
実際、「凶風」の中に身を置くと、「急流」に流されそうになった。いや、天空の川はそれこそしぶきを上げる滝のようだ――そんなたとえも大げさではない。
テレビが伝える最大瞬間風速は小名浜で29.7メートル。北海道を除いてこの日、本州ではいわきが一番吹き荒れたのではないか。
4年前の3月下旬にも、同じように凶風が吹いた。そのとき、近所で風のトラブルが起きた。
――朝5時過ぎ、風が轟音を伴って押し寄せた。そのうち電話が入った。カミサンが出ると、行政区の役員さんからだった。
家のそばにある県営住宅の案内板が倒れてガラスが散乱しているという。現場へ行くと、役員さんが散乱したガラス片を片付けていた。人や車の通行には支障がない。あとはその棟の管理人さんにまかせることにした。
春先に特有の季節風とはいえ、その威力が増している。あちこちでこうした被害が起きたのではないか。
強風に振り回された彼岸の中日。天空の川は夜になっても、茶の間のガラス戸を鳴らし続けた――。
今度も、何事もなければいいが……。そう思っていたら、近所に住むカミサンの茶飲み友達がやって来た。回覧箱を隣の家に置いてきたら、凶風で中の資料が吹き飛ばされた。
今回はたまたま予備があったが、やはり「風害」が起きた。行政の統計には載らない、些細な被害が身の回りにはいっぱい起きたことだろう。
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