一言でいうと、散々な5月だった。週末になると天気が崩れる。夏がきたかと思うと、翌日は冬に戻る。寒暖の差がとにかく激しい。
長そでシャツを半そでシャツに替えたり、また長そでシャツに戻したり……。でないと、年寄りは簡単に風邪を引く。
季語でいえば、青葉寒。いや、もう梅雨寒といってもいいのではないか。
この寒暖と雨に刺激されたのか、隠居のある夏井川渓谷でもアラゲキクラゲが発生した=写真。
いわき市平にある平地の石森山でもこの時期、遊歩道を巡ると立ち枯れの木にアラゲが発生していることがある。4年前の拙ブログにこうある。
――6月7日にアラゲキクラゲと出合った。出ていてもおかしくない。そう思って、石森山の遊歩道を巡るたびに、立ち枯れと倒木に目を凝らした。
ある遊歩道では立ち枯れの幹にびっしり、別の遊歩道では倒木にわんさと生えていた。
帰宅して水で洗い、ごみを取ってから、ビニール袋に入れて検査所(近くの公民館)へ持って行き、放射線量を計ってもらった。結果は「検出下限値未満」だった。
年寄りが食べる量は限られる。親しい人にだけ検査結果を見せて、お福分けをした――。
線量が低いのは、すでに根からこずえへの養分の吸い上げが止まり、木としてのいのちが終わっているからだろうか。
それはともかく、アラゲは南方系のキクラゲだ。食べてうまいのは北方系のキクラゲだが、アラゲも炒め物や熱々のラーメンに刻んで加えると、歯ごたえがあってうまい。けんちん汁(豚汁)にも、なんて考えるのは、やはり青葉寒のせいだろう。
いつもこのころ、作家の故池波正太郎さんが『男の作法』のなかで言っていた言葉を思い出す。
「冬なんかに、ちょっときょうは寒い、風邪を引きそうだなあと思ったときは、入浴をしても背中は洗わないほうがいいよ。(略)背中の脂っ気がなくなってカサカサになっちゃうと、そこから風邪が侵入してくるわけ」
青葉寒に見舞われ、背中が寒いなと感じたら、すぐ長そでシャツに替え、上に1枚羽織る。5月30日がそうだった。
早朝5時に玄関を開けて新聞を取り込むと、冷たい雨の微粒子が降りてきた。金・土と予報では雨だ。折から6月1日付で市の広報資料を配らないといけない。1日は地区の球技大会がある。
今しかない。まだ雨が微粒子のうちに資料を配布しなければ――急に思い立って回覧物を積み込み、車を走らせた。むろん、暖房をかけて。
この日は一日中小雨だった。翌31日は、雨こそ降らなかったものの、冷たく湿った北東の風が吹きつけた。
家にいても鼻水が出る。しかたない、まだ灯油が残っていたので、石油ストーブをつけた。座卓(こたつ)の下の電気マットもオンにした。晩酌の焼酎もこのところ、お湯割りが続いている。6月最初の日もそうだった。なんともはや、である。
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