2017年1月1日日曜日

とり年スタート

 今でも「あのとき、なんで写真を撮れなかったのだろう」と、少しの悔しさとともに思いだすことがある。キビタキ、雄。きれいだった。
 息子たちがまだ小学生のとき、日曜日になると夜明けにおこして平の里山(石森山)へ連れ出した。子どもには迷惑だったかもしれない。
 
 初夏。ちょうど愛鳥週間が始まったころ。キビタキの雄がさえずっていた。「オーシツクツク ポーピーピッコロ」。森の中に張り巡らされている遊歩道のひとつ、沢から尾根へ出たとき、1.5メートルほどの先の木の枝に、さえずり主がいた。
 
 出合い頭だった。鳥もびっくりしたろうが、こちらもびっくりした。スズメほどの小ささなのに、色彩は歌舞伎役者並みに派手だ。黒・黄・白・橙。カメラを肩にかけていたのに……。「あのとき、写真を撮ってたらねぇ」と、ときどき息子に言われた。
 
 その息子が結婚して、2人の父親になった。石森山をフィールドに子どもを連れていく。親・子・孫三代の石森山通いだ。キビタキの写真を撮ってくれないものか――。
 
 キビタキの雄だけではない。姿を見たい鳥がいくつかある。身近なところでは、夏に渡ってくるカッコウ。夏井川の河川敷で営巣するオオヨシキリの巣を狙って、「カッコー、カッコー」とやっていたものだが、今は全く聞かれない。夏、河口近くで群飛していたコアジサシも姿を消した。
 
 いわきで新聞記者になり、結婚して子どもが生まれた。ここで根を生やすと決めたとき、アフターファイブはいわきの自然を知ることに使おう、でないと記事が薄っぺらいものになる――そう考えて、まず始めたのがバードウオッチングだった。鳥から花へ、そのかたわらのキノコへ、野菜栽培へ。私にとっては「いわきという書物」を読む原点が野鳥観察だった。

 とり年がスタートした。で、なにか野鳥の“撮っておき”の写真をと思ったが……。やはりハクチョウしかない=写真。今年もよろしくお願いします。

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