2017年5月1日月曜日

井戸水“復活”

 台所の蛇口をひねる。勢いよく水が流れ落ちる=写真。夏井川渓谷にある隠居の井戸水がおよそ3カ月ぶりに“復活”した。正確には、水はあるのにポンプの老朽化で揚水ができなかったのだ。
 真冬の室温は氷点下5度になる。この20年余りの間に、隠居の洗面所と台所の温水器が計6回ほど凍結・破損し、床を水浸しにした。それに懲りて、冬は洗面所の水道の元栓を閉め、台所の水道管に接続してある温水器の水を抜く。

 厳寒期、台所の蛇口をひねったら、急に水が細くなり、断水した。どこかで凍結・破損して漏水しているのか、それとも井戸の水位が低下しているのか。庭を巡って漏水の有無を見る。濡れているところはない。となれば、ポンプ本体に問題がある。今までは「呼び水」をすればすぐ“復活”した。ところが……。いくらやっても水は出ない。ゴボゴボ泡を噴くだけだ。

 ここは、隠居の飲み会の常連でもある同級生の「水道のホームドクター」に頼むしかない。4月2日の日曜日、20リットルは入るポリタンクに水を入れてやって来た。小一時間水を注ぎ続ける。それでもだめだった。
 
 ポンプのパッキングが劣化して空気が入るからではないか、というので、ポンプを交換することにした。おととい(4月29日)、新しいポンプを取りつけた。
 
 前の日、隠居のカギを取りに来た。飲み会だけでなく、凍結・破損の始末に何度も来ている。隠居のどこにポンプの電源があるかわかっている。私は用があるので、ホームドクターにまかせた。29日の夕方、カギを返しに来た。「前以上に出るぞ」。そのとおりに、勢いよく水が蛇口からほとばしり出た。
 
 ここしばらく、スーパーで水を買って隠居へ出かけていた。行っても水がないのでやることは限られる。周囲をぶらつくか、こたつで本を読むだけだ。水が出たからというわけで、きのうは張り切って土いじりをした。カミサンも草むしりに熱中した。
 
 知人夫妻が景色を見にやって来た。葬式でもらったお茶を出す。「おいしい、やさしい味」。目を輝かせる。そうだった。自宅で飲むコーヒーと隠居で飲むコーヒーではまるで味が違っている。隠居のコーヒーはやわらかい味がするのだった。渓谷の隠居のごちそうは目の前の景色と、この井戸水。あらためてやさしい味の価値をかみしめる。

0 件のコメント: