2017年7月30日日曜日

街のアカメガシワ

 アカメガシワ(赤芽槲)という落葉高木がある。山にも谷にも河原にも生える。街でもアスファルトのすきまから芽を出す。きのう(7月29日)、かしま荘夏祭りに出店したカミサンを迎えに行くため、近所の国道6号交差点で車が途切れるのを待っていたら、縁石と歩道の間に生えているのが目に留まった=写真。先っちょの新芽が赤い。
 7月の平「三町目ジャンボリー」で移動本屋から、三浦豊『木のみかた 街を歩こう、森へ行こう』(ミシマ社京都オフィス刊」を買った。なかに、一般にはなじみの薄いアカメガシワの話が出てくることを、前に書いた。
 
 なぜアカメガシワに興味があるかというと、「キノコのなる木」だからだ。食菌のアラゲキクラゲが発生する。シイタケはシイの木などを好み、マツタケは松の根と共生している。キノコは「木の子」なのだ。
 
 アラゲキクラゲは、材質のやわらかいニワトコ、アカメガシワの立ち枯れや倒木に生える。平の里山・石森山にこのアラゲキクラゲが多い――。いわきキノコ同好会の創立に尽力し、14年前に亡くなった故斎藤孝さんの遺稿集『カメレオンの悲しみ』(私家版)で教えられたことだ。
 
 それまでは、キノコはキノコ、樹木は樹木だった。以来、樹木とキノコの連関(共生・寄生・殺生)を頭におくようになった。

 アラゲキクラゲは南方系のキノコだ。「荒ら毛」のないキクラゲは北方系。阿武隈高地では両方が採れる。その意味では、いわきの海が暖流と寒流のぶつかる「潮目の海」であるように、陸もまた南方系と北方系両方の植物・菌類が見られる多様なエリアなのだ。夏井川流域でいえば、渓谷=中間温帯をはさんで暖温帯(海岸~平地)と冷温帯(阿武隈高地)が向き合っている。
 
 同好会の仲間とちがって、私は夏井川渓谷に行っても隠居の周りをうろうろするだけなので、「荒ら毛」のないキクラゲには出合ったことがない。

 若いころ、休日だけでなく、昼休みにも弁当を持って出かけた石森山では、梅雨期、人間の耳より大きくなったアラゲが採り放題だった。遊歩道ごとにチェックする木(ニワトコ、アカメガシワ)があった。

今は渓谷の隠居の庭の木(名前がわからない)に発生するのを見るだけだが、今年はカラ梅雨のためにアラゲは影もかたちもない。アカメガシワはそこかしこに生えている。若くて元気がいいので、アラゲのつけ込むすきはまだなさそうだ。

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