庭の柿の木でおととい(7月19日)夜、耳鳴りかと思うほどか細い声でニイニイゼミが鳴いた。ずいぶん遅い初鳴きだ。きのうも午後になって鳴きだした。
ニイニイゼミが鳴きだすころ、家庭菜園ではキュウリが収穫の最盛期を迎える。採ったり届いたりしたキュウリが台所に山になる。大根ならしばらく置いても糠漬けにできるが、キュウリはそれが効かない。水分が飛んで、中身が綿のようになったキュウリは、漬けてもまずいだけ。で、とりあえず採りたてを糠床に入れるか、キュウリもみにする。
糠漬けは、基本的には浅漬けだ。夜に漬けたら朝には青みの残るキュウリが食べられる。気温が高い今は漬かりも早い。夫婦2人が一度に食べる量はせいぜい1本半だ。糠床で眠ったままのキュウリが出てくる。
古漬けはあめ色になる。塩分と酸味が強い。食べるときには水に浸けて塩を抜き、ショウガをおろして醤油をかけて食べる。あめ色でもまだ漬けが浅いキュウリは、パックに入れて冷蔵する。程よい酸味と歯ごたえが、浅漬けとは違った食欲を誘う。
肥大キュウリが2本も3本も採れたときには、違った調理と食べ方をする。ピーラーで皮をむき、透き通るくらいの小口切りにしてキュウリもみにしたのを、薄くパックに詰めて冷凍・保存する。
キュウリは、そもそも“固形水”だ。成分の90%以上が水分でできている。それを薄切りにし、塩でもんで凍らせると、シャーベットになる。
先日の朝、食卓にこの“シャーベットキュウリ”とあめ色の浅漬け、塩出しをした古漬けが出た=写真。シャーベットキュウリは熱いご飯にのせるとすぐ氷が融ける。もう少し塩を利かせたら、うまくご飯にからんだかもしれない。
昔は、糠床とは別の甕でキュウリの古漬けをつくった。たっぷりの塩と激辛トウガラシを加え、落とし蓋に重しを載せる。しみ出た水分を時折煮沸して戻し、しおれたキュウリを雑菌から守る。1カ月もすれば、ぺちゃんこになったあめ色の保存漬けができた。
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