2020年10月14日水曜日

ネギの種をまく

                    
 おととい(10月12日)、夏井川渓谷の隠居へ出かけ、庭の隅につくったネギの苗床に種をまいた。「三春ネギは10月10日に種をまく」。地元・牛小川の住人に教えられた「鉄則」だ。

 今年(2020年)は、土曜日(10月10日)が雨。翌日曜日は、雨はやんだものの、午後から元古河好間炭鉱の「殉職之碑」を見に行った。午前中に種をまこうかとも思ったが、年寄りにはあれもこれもはきつい、時間的な余裕もない。結局、月曜日にずらした。

 台風14号ははるか南海上にUターンし、秋雨前線も静かになった。曇天には変わりがないが、ほぼ無風状態だ。雨で苗床は湿っている、まあまあの天気だと思ったものの、苗床を指で探るとまだ湿りが足りない。風呂場からホースを伸ばして苗床に水をやる。そのあと、プラスチック製の支柱を利用して種をまく溝をつくった。

 種は去年(2019年)採った2年目のものと今年採ったものを、乾燥剤とともに小瓶に入れて冷蔵庫で保管してきた=写真。ネギの種は寿命が短い。持って2年。しかも、2年目の種は発芽率が悪い。今年は、ネギ坊主が三つくらいしか採れなかった。分量からすると9割は去年の種だ。それなりの発芽率でありますように――そう願うしかない。

 去年は、一昨年の種が大量に残ったため、これを利用した。新しい種は冷蔵庫に置いたままだった(ほんとうは忘れて置きっぱなしになった)。古い種を出すと湿って饐(す)えた匂いがする。種は生命力を失っていた。それをまいてはみたものの、ひとつも発芽しなかった。今年発芽すれば、喜びは2年分、倍になる。

ネギの発芽はおもしろい。地中3~5ミリほどのところで種が眠っている。まいて1週間もすると、種のすぐ上の土が筋状に割れてくる。その割れ目から緑色の点(発芽しつつある緑色のネギ苗)がのぞくようになる。

黒い殻を破った緑色の芽(根と茎の部分がある)はいったん上向きに伸び、やがて根の部分が屈曲して下へ、下へと向かっていく。茎は屈曲した状態で上へ伸び、ヘアピン状のまま地上に現れる。それに似たかたちを探せば、電気抵抗の単位を表す「Ω」(オーム)、あるいは逆「U」の字。

 その次の段階になると、土のふとんをかぶった黒い種がまた、茎に引っ張られて地表に出てくる。初期の芽ネギは頭に黒い殻をのせているために、数字の「7」、あるいは記号の「?」のように見える。

さらに次の段階に入ると、黒い殻は脱落し、茎も根も一直線になる。ネギ栽培をしていてなにが楽しいかというと、この発芽からピンと立つまでの一連の変化だ。

 芽が伸びてきたら、カミサンの実家(米屋)からもみ殻をもらってきて、ネギの苗床に敷く。越冬する芽ネギのふとん(つまり防寒)になる。よけいな草の発芽も抑えてくれる。もみ殻だけではない。昔は稲わらもカミサンの親類の家からもらってネギの溝に敷いた。今はこの稲わらを手に入れるのが難しい。しかし、そんなことも芽が出ればの話だ。それがわかるまであと5~6日。

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