キノコにとってはいい具合のお湿りと冷え込みになったのだろう。日曜日(10月18日)に夏井川渓谷の隠居へ行ったら、庭の立ち枯れの木にヒラタケが3個出ていた=写真上1。やや下、左側のきのこがヒラタケ。その下の黒ずんだものと、上方の白っぽいものはアミヒラタケ。
名前は似ているが、ヒラタケはヒラタケ科、アミヒラタケはサルノコシカケ科(あるいはタコウキン=多孔菌科)だ。傘の裏の形も違う。ヒラタケは普通のひだ状、アミヒラタケはスポンジ状。ヒラタケは優秀な食菌、アミヒラタケもやわらかい幼菌のうちは食べられるというが、すぐ硬くなるので食べたことはない。
ヒラタケは顔を出したばかりだろう。木のまたに足をかければ手が届く。根元からもぎ取ろうとしたら、柄がしっかりしている。採るまでに少々時間がかかった。径8センチほどの元気なヒラタケで、ひだは真っ白い。柄は弾力がある。なにより形と色が美しい。
私は、隠居の庭に出たキノコで食べられるものは採る。なぜかというと、東日本大震災に伴う原発事故後、隠居の庭の表土がはぎとられ、あとにきれいな山砂が投入されたからだ。
平成25(2013)年2月、隠居の庭の事前モニタリングが行われた。年間1ミリシーベルト以下であるためには、計算式に従って毎時0.23マイクロシーベルト以下でないといけない。結果は平均0.24だった。その年の師走、庭の全面除染が行われた。庭が新しい土で砂浜のようになった。
それから2年余りたった同28(2016)年2月、再モニタリング調査が行われた。いわきの平常値0.05よりは高いが、事故直後に比べたらかなり減衰した。
森の中のキノコは、放射性物質が林内で循環するため、なかなか数値が下がらない。写真を撮っても、キノコを採ることはなくなった。その代わり、除染された隠居の庭に出てくる食菌はありがたくいただく。
春、シダレザクラの樹下に出るアミガサタケ。梅雨期、庭の地中に形成されるマメダンゴ(ツチグリ幼菌)。そして、秋のヒラタケ、アカモミタケ。
まずはきのこ汁だ。ヒラタケとアカモミタケに到来物のウラベニホテイシメジをちぎるまでは私の仕事。あとは、カミサンがみそ仕立てにした。豚肉やニンジン、ジャガイモ、油揚げ代わりのエビ入りさつま揚げも入った“けんちん”だ。1杯目はまあ普通のけんちん、2杯目はキノコのうまみが汁によく出ていた。残りは翌朝口にした。晩にも食べて鍋を空にした。煮るたびにうまみとうまみがからまっていい味になっていた。
ここ2~3日、シメジのたきこみごはん、ホイル蒸し、アカモミタケの炒め物と、きのこ尽くしに近かったが、やはり何種類も入ったきのこ汁が一番だった。
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