隠居のある夏井川渓谷の小集落・牛小川では、10月10日に「三春ネギ」の種をまく。地元の住人に教えられて、これを守ってきた。今年(2020年)は土曜日だ。翌日曜日には用事があるので、土曜日に種をまくつもりでいる。といっても、今年はほんの少ししか種は採れなかったが。
東京オリンピックに合わせて、体育の日が7月24日に移動し、名称も「スポーツの日」に変わった。「体育の日」は祝日だったので、自動的にその日が種をまく日になった。ハッピーマンデーで「10月の第2月曜日」に移ってからは、10日前後の日曜日を、種をまく日にしてきた。
今年の春、種が採れるような越冬ネギは少なかった。そのうえ、去年は秋に種をまいても芽が出なかった。冷蔵庫から種の入った小瓶を取り出すと、黒いはずの種に白っぽい色がまじっている。ふたを開けると饐(す)えた匂いがする。乾燥していなければならないはずの種がべとべとしている。初めて経験する異変だった(一昨年、種が大量に採れたので余った。2年目の種だった)。
春、田村市の実家に頼んでネギ苗を調達し、定植した。するとこれが春のうちに花芽(ネギ坊主)を出した。それを摘みながらの栽培になったが、花芽の方にエネルギーを取られたようだ。夏場はさらにネキリムシが発生し、根元をチョキリ、チョキリとやられたため、育ちが極端に悪くなった。
それでも栽培を続けないと種は採れない。10月10日から逆算して、9月下旬に苗床用の土をほぐし、石灰をまいて肥料をすきこんだ=写真上。
その前に草を刈る必要がある。今年は7月に高専の後輩が自動草刈り機を持ってきて、上と下の庭を刈った。さらに先日、今年2回目の草刈りをしてくれた。庭が隅々まできれいに刈り払われていたから、苗床づくりは簡単だった。
隠居の前の草もきれいに刈られた。天然芝の間からホコリタケが頭を出していた=写真下。白い幼菌を3個ばかり割ると、中身も白い。大きいのは一部黄色くなりかかっている。白いのは食べられるが、数が少ないのでゆでるのはよした。ついでに下の庭へ下りる階段を見ると、マムシの姿はなかった。もうしばらくマムシを見ていない。虫たちも隠れ家を失って、周辺へ後退したようだ。
さて、秋にネギの種をまくというと驚かれる。いわきの平地と山地とでは半年のズレがある。
千住系の「いわき一本太ネギ」を栽培している平地のネギの師匠は4月10日にまくといっていた。三春ネギは上流の田村郡から伝来した。おそらく郡山市阿久津で栽培されている曲がりネギと同じ品種だ。明治30年ごろ、富山の薬売りが種を持ち込んだという。加賀系のネギということになる。
苗床の面積は疊1枚分ほどだ。今年は広すぎるかもしれない。すきまをつくって、ていねいにまくとしよう。心配なのは台風14号だ。どんなルートで、いつ日本に最接近するのか(だんだん雲行きが怪しくなってきた)。状況によっては10日の前か12日以降に種まきをずらすしかない。
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