ある晩の食卓――。自然の恵みと、ご近所から届いた季節の食べ物が舌を喜ばせる。
わが家の道路向かいの奥に故義叔父の家がある。30年近く前、埼玉県から引っ越してきて、家を建てた。義弟が新築を祝って、家の北側に甘柿の苗木を植えた。今は隔年で実が生(な)る。
先日、剪定(せんてい)ばさみを伸ばして届く範囲で柿の実を収穫した=写真上1。まだいっぱい残っている。が、木登りして落ちたらコトだから、あとはヒヨドリやムクドリたちにプレゼントする。
正岡子規の「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」は10月26日に詠まれたそうだ。それで、全国果樹研究連合会カキ部会がその日を「柿の日」に制定した。今年(2020年)はその前日から柿を食べている。まだ甘みは足りない。が、渋みはほとんど消えた。晩酌に合わせて食べると二日酔いにならないというから、この時期は酒のつまみに欠かせない。
東日本大震災と原発事故のあと、近所の公民館で放射能の簡易検査ができるようになった。2年前、非破壊検査が可能だというので、甘柿を調べてもらった。結果は「検出下限値未満(キロ当たり20ベクレル未満)だった。安心してお福分けもできる。
日曜日(10月25日)、全面除染された夏井川渓谷の隠居の庭から、またアカモミタケを採った。前に採ったとき、知り合いの女性にお福分けをした。吸い物にしたらおいしかったという。ではと、豆腐と隠居のナスの未熟果を刻んで吸い物にした=写真上2。キノコ自身からいいダシが出ていた。
そこへご近所から、お福分けの冬瓜(とうがん)と豚バラ、油揚げなどの煮物が届いた=写真上3。冬瓜は味がしみてとろけるようだった。甘柿、冬瓜、アカモミタケ。大地と知人からのいただき物だけで晩酌のおかずがそろった。
そうそう、何日か前には後輩が落花生の「おおまさり」を持ってきた。すぐ殻ごとゆでた=写真上4。ホクホクしてやわらかかった。
アカモミタケを進呈した女性は隣の行政区に住む。きのう(10月29日)、その女性から、白菜1玉、ハヤトウリ4個、サツマイモ少々をもらった。娘さんが車で届けてくれた。白菜は八つ割りにして干してから漬ける。この秋初めての冬仕事になる。
こうして、お福分けは友情を、コミュニティのきずなを深める。個人の食生活を彩り豊かなものにする。
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