カミサンが何日か前、台所の外にある縁の下の通気口にネズミが入り込むのを目撃した。入り込めるくらい小さいネズミだとしたら、ハツカネズミ?(ヒメネズミでは?というコメントも入ったが、なんとも判断がつかない)
以前――と書いて思い出した。1年前の台風19号を境に、わが家の番兵よろしく縁側で休んでいた野良猫が姿を消した。すると、ネズミが茶の間と台所をうろちょろするようになった。第2陣が現れたか。
日中、それもわが家の庭でネズミがわがもの顔で動き回っているのを見るのは初めてだ。
こちらのいきものも庭に初めて現れた。雨が上がった朝、自然に生えたシソの葉に隠れて止まっている蝶(ちょう)がいた=写真。後ろの翅(はね)に赤い斑紋が付いている。こんな鮮やかな紋様のチョウは見たことがない。
ネズミと違ってこちらはジッとしている。すぐ写真を撮って、ネットで名前を調べた。タテハチョウ科のアカボシゴマダラらしかった。国立環境研究所の「侵入生物データベース」に情報がアップされている。自然分布はベトナム北部~中国南部・東部~朝鮮半島などで、別亜種が奄美諸島と台湾に分布するという。
ほかの情報も加味すると、日本列島では1995年、突然、埼玉県で確認された。その後、関東南部で多発・定着するようになった。2010年以降では関東地方北部や山梨県、静岡県、福島県でも見られるようになった。
自然の分布域から飛び離れていること、突然、出現していることから、マニアによる「ゲリラ放虫」の可能性が大きいという。池や川に放されたブラックバスと同じではないか。
幼虫はエノキの葉を食べる。日本の国蝶オオムラサキやゴマダラチョウ、テングチョウなどと競合する。ゴマダラチョウとの雑種も生まれている。拡散させてはならない防除対象種ということだった。
地球温暖化による北上は自然現象だからしかたがない。しかし、人為的な放蝶による生態撹乱(かくらん)は、あってはならないことだ。温暖化そのものが人間の活動の結果には違いないが、ゲリラ放虫は生態系に対する“犯罪”といってもいいのではないか。
ここからは、いわき地域学會のPR。コロナ禍で中断していた市民講座を再開する。10月第3土曜日の17日午後2時から、いわき市文化センター中会議室で、鳥海陽太郎幹事が「南方系昆虫の急速な北上が地球温暖化を警告~気候変動にともない激変したいわきの昆虫~」と題して話す。
いわきを北限とする南方系昆虫は、いわきが冬でも温暖な地域であることを示すシンボル。今は地球温暖化指標種として、夏の猛暑や台風がもたらす災害の警報的存在でもある。生息域拡大を狙うこの昆虫を追った――。いわきの虫たちの現状から地球の問題と地域の問題を同時に考え、自然と人間の関係について知見を深めるいい機会でもある。
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