2020年10月9日金曜日

森のキノコたち

                               
 フェイスブックにはいろんなグループがある。私はいわきローカルだけでなく、キノコや山菜のグループにも入っている。ほとんどが情報を受け取るだけだが、未知のキノコや毒キノコには「集合知」がはたらく。料理の仕方も地方によって異なる。これが一番勉強になる。

 で、この時期は特に、全国のあちこちで採(撮)れるキノコが一日に何回もアップされる。こちら(いわき市)は、野生キノコは摂取してもダメ、出荷してもダメ――という制限がかけられている。

 森へ行っても写真を撮るだけ。採っても食べられない。次第に森へ行く回数が減る。とはいえ、キノコの季節がくるとやはり落ち着かない。キノコのグループから得た情報を参考にしながら、わがフィールドのキノコの様子を想像する。

 30代までは、平市街に最も近い里山(石森山)がキノコ観察のフィールドだった。夏井川渓谷の隠居へ通うようになってからは、もっぱら渓谷の森をフィールドにしている。

 急斜面の上り下りはもうできない。谷筋の遊歩道を行って戻るだけだ。最近は歩く距離も短くなった。隠居の対岸に「木守の滝」がある。そこまで行って、周辺をちょっと探索して戻って来る。ただの散歩なら行って戻って15分だろう。「キノコ目」になっているから、歩みはカメよりのろい。それでも小一時間で終わる。

 今度もそれで十分だった。木守の滝の近く、モミの大木が生えているあたりを見て回った。テングタケ(毒)が生えていた=写真上1。オオワライタケ(毒)らしいもの、シロオニタケ(毒)の幼菌と思われるものもあった。

 食べられるか、食べられないかはとっくに“卒業”した。若いときは食欲一点張りだったが、今は違う。形が面白い、色がきれいだ――となると、カメラを向ける。原発事故のせいで採取より記録(撮影)に気持ちが傾いたことも大きい。

 木守の滝周辺というごく限られたエリアでも、行くたびに自然は変化・流動している。遊歩道の入り口ではテンが排せつしたらしいフンがあった。モミの大木の根元では「モミぼっくり」がばらばらに分解されていた=写真上2。リスの仕業だろう。

 以前はずっと奥まで片道30分をかけて歩いたものだが、このごろは変な予感がする。イノシシ、これが昼間からうろついているのではないか。昔、遊歩道の奥のヤブでイノシシのフンを見たことがある。それからの連想だが、原発事故以来、森に入る人間が減った、その分イノシシが自由に動き回っているかもしれない――そんな恐れを抱くようになった。

 今はだから、滝の近くで毒キノコと対面しただけでもうれしい。今年も無事に次の命(胞子)をはぐくむ準備ができた――そう考えて安心する。

0 件のコメント: