2023年10月17日火曜日

タウン誌・街の灯こおりやま

                     
 郡山市で発行されている月刊タウン誌「街の灯(ひ)こおりやま」の7~10月号が届いた=写真。

田村郡小野町で「東方文化堂」を営む渡辺伸二さんが、7月号から「磐越東線 各駅停車散歩」を連載している。彼から恵贈にあずかった。

いわきから夏井川沿いに車で行くと、JR磐越東線小野新町駅近く、踏切を渡る前に道が直角に曲がる。その急カーブのところに東方文化堂がある。

渡辺さんは磐東線を利用していわき市の平工業高校に通った。鉄道マニアでもある。近年、県外からUターンし、自宅兼店舗に「磐越東線ギャラリー」を併設した。

ギャラリーの奥、かつては居間だった最初のスペースは「ミニ企画室」、さらにその奥は「ミニ図書室」になっている。

令和3(2021)年4月下旬、「マイクロツーリズム」と称して、夏井川渓谷にある隠居から昼食と買い出しを兼ねて、上流の小野町を訪れた。そのとき初めて、渡辺さんの店を訪ねた。

ギャラリーには磐東線の開通を告げる新聞記事や史料、駅名看板、写真などがびっしり飾られている。それを見るのが目的だった。

渡辺さんは平成19(2007)年に『磐越東線ものがたり 全通90年史』を出版した。草野心平の詩「故郷の入口」を解読するのに、この本の世話になった。

昭和17(1942)年10月、心平は中国・南京から一時帰省する。詩の冒頭4行。「たうとう磐城平に着いた。/いままで見なかったガソリンカーが待ってゐる。/四年前まではなかったガソリンカーだ。/小川郷行ガソリンカーだ。」

磐越東線をガソリンカーが走ったのはいつか。作品とは別に、史実を確かめるために渡辺さんの本に当たった。

「このガソリン動車、磐越東線では昭和11年(1936)4月15日から平・小川郷間を走っていた」。太平洋戦争末期の「昭和20年(1945)6月のダイヤ改正時には姿を消している」。心平のいう同17年の4年前ではなく、6年前には運行が開始されていた。

ミニ図書室に『写真が語るいわき市の100年』(いき出版、2019年)があった。私が責任者になって、知人やいわき地域学會のメンバーとともにつくった。そのことを伝えると、名刺交換を、となって、さらに話がはずんだ。

 先日、連載5回目の「赤井駅」について、メールで問い合わせがあった。答えるどころか、こちらが知らなかったことが書いてある。その旨を伝えたあとで、タウン誌が送られてきた。

小野新町駅から始まって、小川郷駅、舞木駅、川前駅と紹介し、次回(11月号)が赤井駅になる。

いわき関係で残るのは江田駅、いわき駅だが、私も高専時代、田村郡の実家へ帰省するのに磐東線を利用し、それ以前は郡山市までSLに乗っていた身なので、やはりどの駅も懐かしい。

磐越西線を取り上げた本は山ほどあっても、磐東線に焦点を当てた本は皆無に等しい。「乗り鉄」や「撮り鉄」でなくても、身近な磐東線の「駅散歩」はむしろありがたい、そんな思いがわいた。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

高校生までいわきで育ち、以来東京暮らしをしているものです。いわきの巨匠「草野心平」氏のイベント「天地氤氳」が私の住む街、国立市で行われています。https://kunimachi.jp/event/%e5%b7%a8%e5%8c%a0%e3%81%8c%e6%8f%8f%e3%81%84%e3%81%9f%e5%9b%bd%e7%ab%8b%e5%b8%82/