2024年4月30日火曜日

小商圏チェーン店

                     
 先日、県紙も全国紙も1面トップで自治体の「消滅可能性」を報じていた。少子・高齢社会の行き着く先は、人口減による自治体の消滅? その可能性のある自治体は、福島県の場合は約7割の33市町村に及ぶそうだ。

 たとえば、わがふるさとの阿武隈高地にある田村市や三春町、小野町などもこの中に入る。

 夏井川渓谷の小集落に隠居がある。空き家を含めて戸数は10戸ほどだ。住民は「ここは限界集落だよ」と自嘲する。

 自治体うんぬんの前に、それを構成する個々の集落の消滅可能性が現実問題として横たわっている。そうした現実を踏まえて店舗を展開しているのだろうか。

いわき市川前町の山里に住む人がときどき、わが家へやって来る。日常の買い物は小野町ですませる。その店の一つがドラッグストアの「薬王堂」だという。

日曜日(4月21日)に小野町へ駆け上がり、あぶくま高原道路の延伸部分を初乗りしたとき、町なかに薬王堂があった。そこへ寄って、義弟から頼まれていたサンダルなどを買った。

昔からの商店街(シャッターやカーテンの閉まっている店がある)の一角に、急に大きな駐車スペースが現れたので、見ると薬王堂だった。

郊外に立地する大型店は、とにかく駐車場が広い。こちらは町なかなので、コンビニよりはちょっと駐車場が広い、といった感じだろうか、

店を見た瞬間に思い浮かんだのは、わが家から1キロも離れていない旧道沿いにオープンした、同じドラッグストアの別のチェーン店だ。

薬王堂は主力の医薬品のほかに、化粧品、衣料品、日用品、食品も売っている。あとで調べたら、「小商圏チェーン店」として店舗を展開している、とあった。

なるほど、そういうことか。昔は、阿武隈の山里にも駐車スペースをたっぷりとった郊外型の大型店が客を集めた。

しかし今や過疎、そして少子・高齢社会が進行し、「大商圏」は現実的ではなくなった? いや、想定商圏は同じでも、人口減から客の購買力が落ちた? そう考えると、「小商圏チェーン店」が一つの答えにはなるのかもしれない。

いわき市の中心市街地はいわき駅前だが、日常生活を軸に考えれば、住んでいるそこが中心になる。中心と周縁ではなく、どこも中心。という意味でいえば、川前の山の手、小白井や桶売は小野町との結びつきが深い。

病院も、買い物も、いわきの中心市街地よりは最寄りの小野町へ――。小白井を通る県道小野富岡線~同吉間田滝根線があぶくま高原道路と接続され、長短二つのトンネル=写真=をくぐると、そこは郊外店が立地する小野町IC付近だ。桶売からも山あいの道路を利用すると、磐越東線夏井駅前に出られる。時代は「小商圏」へと移行している?

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