2023年10月12日木曜日

この夏の蚊の行動

        
 某新聞の10月9日付1面肩は、この夏の蚊の行動に関するニュースだった。「酷暑避けた蚊 10月に活発化/35度以上だと休憩 秋に復活?」。この見出しには思わず笑ってしまった。

 「昭和の家」で蚊取り線香とともに夏を過ごす人間には、この夏の蚊の“異変”は先刻承知だったからだ。

 9月末に夏井川渓谷の隠居でミニ同級会を開いた。渓谷は虫の王国。ブユやアブはともかく、蚊は場所と時間を選ばない。

 飲み会が始まる前にガラス戸を開け=写真、蚊取り線香をたいて廊下に置いた。仲間のひとりは防虫スプレーを持参した。夜はいちおう戸を閉めて寝た。おかげで蚊に刺された人間はいなかったようだ。

 ミニ同級会はあらかた9月に開いてきた。秋の彼岸を境に、夏から秋へと季節が移る。しかし、蚊はまだまだ飛び回っている。痒い目に遭った経験が防虫スプレー持参につながった。

 記事のポイントは「真夏に活動するはずの蚊」が、「真夏の気温が高すぎて活動できず、秋になって活発になっている可能性がある」という点だろう。

 市民の声として、「子どもの頃は10月に蚊なんて信じられなかった」。吊るすタイプの虫よけをドラッグストアに買いに来た60代男性の声を紹介している。メーカーも「9月後半に蚊の商品が伸びるのはまれ」と驚いていたとか。

 植物の開花日や鳥・虫の初鳴日、初見日を記録している。私的な生物季節観測で、春は梅の開花に始まり、桜の開花、ウグイスの初鳴、ツバメの初見ときて、5月にはオオヨシキリの初鳴、ホトトギスの初鳴と続く。そして――。

チクリとやる蚊も、わが家では季節のバロメーターになる。毎年、初めて蚊に刺された日と、最後に刺された日を記録している。

わが家ではちょっと前まで、平均すると5月20日前後が最初、10月20日前後が最後だった。

記録によると、2012年は5月15日、2013年は26日、2014年は25日に初めて刺された。2015年は5月14日。その日の午後には、室温が27.9度に上昇した。

今年(2023年)は4月下旬に出現し、5月4日に初めてチクリとやられた。記録的な早さだ。

記事は「真夏」に限定しているが、蚊は気温次第で春にも、秋にも出現する。その気温も高すぎると、人間同様、行動にブレーキがかかる。

2020年8月11日は午後、室温が36度を超えた。扇風機を『強』にしても、熱風が届くだけ。ここまで高温になると、さすがに蚊もどこかで暑さを避けている。蚊に刺されないのはいいのだが、頭もはたらかない――と記録にあった。今年も猛暑日には同じだった。

 ついでにいえば、「最後に刺された日」は11月にずれ込みつつある。2016年が10月27日、2018年が11月6日、去年が11月19日だった。

 今年は確かに真夏には静かになったが、初夏と秋の2回、小さなピークがきたにすぎない。わが家では今年、35度前後の時間帯を除いて蚊取り線香の煙が絶えなかった。

0 件のコメント: