2023年10月20日金曜日

ネギの種をまく

                              
 季節がひとつ巡ったことを実感するのは気象だけではない。

 夏井川渓谷にある隠居の庭で昔野菜の「三春ネギ」を栽培している。三春ネギは秋に種をまく。

渓谷の住民から種と苗をもらい、2~3年失敗を繰り返して覚えたのは、10月10日を目安に播種(はしゅ)するまで、種は冷蔵庫で眠らせておくことだった。

10月10日に種をまく――は、住民の教えでもある。それを守りながら、10月10日に近い日曜日に種をまいてきた。

ネギの種は、冷蔵庫に入れておけば2年は持つ。というか、冷蔵しても2年しか持たない。そんな“はかなさ”は、やはり常温保存に失敗して学んだことだ。

今年(2023年)は3連休のまんなか、10月8日に土をならして苗床をつくり、たっぷり散水してから種をまいた=写真。

種まきも失敗を重ねながら体で覚えていった。わりと深め(といっても、5ミリほどだが)に筋をつくり、種をまいて土をかぶせ、強めに押す。そうすると、雨に土がはじかれ、種がむき出しになることもない。

発芽を確認するのは、早くて次の日曜日。発芽率がわかるのはさらに次の日曜日。毎年だいたい、そんな流れだ。

その意味では、私が、秋がきたことを実感するのは、この三春ネギの発芽を確認し、ひと安心したときだ。

今年、種をまいた翌日は雨だった。雨に打たれて土が流れ、種がむき出しになっていないか、いや雨に土がはじかれることはないはず――そう思っても、やはり早く確かめたい。

1週間後の日曜日(10月15日)も、朝から雨だった。隠居へ行っても土いじりはできない。次の日曜日まで待つか。いや、やはり発芽の有無を知りたい。

連日、単発で1~2時間の用事が続く。水曜日(10月18日)は午後、何の予定もなかった。昼寝からさめると思い立って隠居へ出かけた。

生ごみを畑に埋める、ネギの発芽状況を確かめる――目的は二つ。いや、ほかにもう一つ。

小川町の三島地内で夏井川と国道399号(県道小野四倉線)が並行する。そこは夏井川に飛来するハクチョウの「第二の越冬地」。

前日に「第三の越冬地」(平・塩~中神谷)で今季初飛来を確認した。必ず飛来しているはず――そう踏んで出かけたのだった。やはりいた。その数、二十数羽。

隠居に着くと、渓谷の森はかなり色づいていた。といっても、ヤマザクラなどの広葉樹が中心だ。

秋の深まりとともに、ローカルテレビでも福島県内の紅葉情報が流れるようになった。この紅葉はしかしカエデ限定だから、夏井川渓谷はまだ「青葉」のマークになっている。

紅葉時期になると、田村郡小野町のNさんが江田駅前に直売所を開く。8日の昼前、江田駅前を通ると、パイプで柱を組み立てていた。

1年ぶりなので、まずはあいさつをする。店を開くのは「11月に入ってから」という。これも秋の到来を告げる人の動きではある。

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