いわき市内の国道6号――。東京から先生と一緒にやって来た大学生6人が、二つの点で事故を起こした原発に対する“臨場感”を抱いたようだ。一つは、南の東京からの距離数。もう一つは、そこから北の双葉郡楢葉町までの距離数。四倉町・コメリあたりでの話だ。
まず一つ。起点である東京・日本橋からの距離が、事細かに歩道わき、車・歩道の境などに表示されている。四倉あたりは210キロメートル+いくらか。二つめは電光表示。キロメートルポストから100メートルも離れていない場所にある。北は楢葉町のJヴィレッジあたりだろう、「17km先/楢葉町以北/通行止」=写真=とあった。
事故を起こした福島第一原発から20キロ圏内は警戒区域、その境界線が四倉のそこから17キロ先だ、つまり、今自分たちが立っているところは問題の原発から37キロの地点、と知ったわけだ。
原発まで近い――。が、「壊された世界」で日常を送る人間には、福島第一原発から37キロ(四倉)も、250キロ弱(東京)もそう変わらないように映る。
250キロ離れているから安全だ――そんな意識が過酷事故への認識の甘さ、鈍感さにつながっていないだろうか。いや、もしかしたらそれが過酷事故を引き起こした原因ではないのか。そんな思いさえ抱く。
大学生は国際地域学科の3年生だ。津波被災・原発避難――現地を見て、被災者・避難者から話を聴いた。それで十分感じるものがあるだろう、受け止めきれないものもあるだろう。が、それが現実だ。
案内人の私もまた、原発からの距離を再確認し、被災者・避難者の言葉に触れて認識を新たにした。
0 件のコメント:
コメントを投稿