「父の日」の少し前、俳諧を研究している勿来工業高校の二村博先生から手紙が届いた。会ったことはない。が、歴史を研究しているいわき地域学會の先輩から、彼のことを聞いてはいた。
わがふるさと・田村市常葉町=写真=出身の、江戸時代の俳諧宗匠今泉恒丸・素月夫婦について本を書いた。8月に会津の歴史春秋社から刊行されるという。思わず「ありがたい」と手紙にむかって頭を下げた。19年前、いわき民報の年間企画「あぶくま紀行」で恒丸と素月についての文章を書いた。以来、うっちゃったままにしてある。
チラシが同封されていた。矢羽勝幸・二村博共編著『鴛鴦(えんおう) 俳人恒丸と素月』というのが、本のタイトルだ。矢羽さんは小林一茶研究の第一人者、二村さんはその教え子。本の値段は3,675円。9年前に出版されたお二人の『俳人塩田冥々―人と作品』(象山社)は本体1万円だったから、安いと言えば安い。
なによりもまず、常葉の人に買ってもらいたい。そこに、これからの常葉のまちおこしの素材が埋まっているかもしれないから。
チラシの文章を紹介する。「俳人、今泉恒丸は、福島県常葉町の生まれ。幕末の俳諧を代表するまでになった。千葉県下総、常陸地方で四千人を超える門下生を従えるに至った大変な俳人である。/そのなぞ多き人生を一茶研究の第一人者矢羽勝幸先生と東北の俳諧研究者二村博先生の師弟コンビが共編著でまとめあげた渾身の力作!!」
「幕末」というよりは「江戸後期」だ。恒丸は宝暦元(1751)年に生まれ、文化7(1810)年に没している。小林一茶とつきあいがあった。一茶よりは一回り年上。そして、妻・素月の、恒丸没後の蝦夷行――。お二人が恒丸と素月をどう解剖したのか、学術書ながら推理小説の発刊を待ち望むような気持ちになっている。
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