このごろ、<なんだろう、これは>と苦笑してしまうことがある。家の前の道路を横断しようと歩道に立つが、なかなか渡れないのだ。小学生よろしく右を見て左を見る、また右を見る。と、車=写真=が来る。また左を見ないといけない。
車を運転するときも同じだ。家の庭から車を道路へ出そうとすると、左を見て、右を見て、また左を見ても出られない、ということが増えた。
いわき市の人口は、統計上は33万773人(6月1日現在)だ。が、“実人口”は増えた。最新の「いわき市災害対策本部週報」によると、3・11後、いわき市から市外へ避難した人は6月11日現在で7929人。いわき市内に避難して来た人は4月30日現在で2万2681人。双葉郡の人がほとんどだ。差し引き1万4752人が増えたことになる。
いわきは原発事故収束作業に従事する人たちの“ベッドタウン”でもある。その人たちも加えると、“実人口”はさらに増えるのではないか。
来週には「半壊」判定を受けた離れの物置を解体する。中にある本棚の一つを道路向かいの伯父(故人)の家へ運んだ。助っ人と二人、歩道に立ったが、右を見て左を見て、さらに右を見てもまだ渡れない。パラパラながら車が続く。助っ人と目を合わせて苦笑するしかなかった。
お年寄りが道路を横断中にはねられて死傷する理由が、いくらかわかったような気がする。右・左・右(あるいは左・右・左)と車の有無を確認しなければならないのに、右・左(あるいは左・右)で終わって、結果的に右(あるいは左)からの車に気づかず、飛び出したようになってはねられる――そういうことではないだろうか。
道路を横断しようとしてはねられるイメージがわくようになったのは、「黄信号」かもしれない。
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