2012年11月19日月曜日

地元学からの出発


いわきの山里=写真=にも通じる話だった。11月16日、いわき駅前のラトブで市主催のまちづくり・未来づくり講演会が開かれた。民俗研究家の結城登美雄さんが「『よい地域』であるために~地元学からの出発~」と題して話した。

結城さんは東北の農山漁村を中心にフィールドワークを重ね、住民を主体にした「地元学」を提唱し、各地で地域おこし活動を行っている。宮城県の旧鳴子町(現大崎市)での「鳴子の米プロジェクト」では総合プロデューサーを務めた。

結城さんと哲学者の内山節さんが対談している、内山節著『共同体の基礎理論』(農文協刊)によれば、市場原理ではなく、一種のフェアトレードとして、米の地域内流通を進める、というのがプロジェクトの目的のようだ。

その過程で多彩なおむすびができる、おむすびを入れる漆塗りの器ができる、くず米を使ったパンができる――といったように、新しい仕事が生まれ、おカネが地域を循環する可能性がみえてくる。

自然とともに生きる村にこそ可能性がある、未来がある――。結城さんは鳴子のほかに、岩手県・旧山形村(現久慈市)の「バッタリー村」、沖縄や宮城県丸森町の「共同店」などの事例を紹介した。

「バッタリー村」の憲章。「この村は与えられた自然立地を生かし この地に住むことに誇りを持ち ひとり一芸何かをつくり 都会の後を追い求めず 独自の生活文化を伝統の中から創出し 集落が共同と和の精神で 生活を高めようとする村である」

結城さんは講演冒頭に、地元学の要諦を語った。「ないものねだり」ではなく「あるもの探し」をする、その地に生きた先輩の声に耳を傾けて学び直す――グローバリズムの経済とはちがったローカリズムの経済、それこそが村には必要なのだ。

結城流「よい地域であるための7カ条」も記しておこう。①よい仕事②よい居住環境③よい文化④よい学びの場⑤よい仲間⑥よい自然風土⑦よい行政――があること。6番目の自然風土が村のあり方を決める。

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