カンボジア旅行はアンコール遺跡群の観光が目的。想像以上の壮大美麗さに感動した。門前町・シェムリアップのレストランで夕食時に見た「アプサラダンス」(天女の舞)も印象深かった。遺跡のレリーフにも「天女の舞」があった=写真。
と同時に、この遺跡群も自然と人間の関係を踏まえないと浅い理解で終わる、そんなことを思った。人間のいない自然の植生を想像すると、そこは熱帯林。熱帯林を切り開き、壮大な寺院がいくつも建立された――と、旅人にも容易に想像しうる。放置すれば熱帯林に戻るだけだ。
アンコールの遺跡がどう造られ、レリーフがどう彫られたか。先日、NHKEテレの「地球ドラマチック――奇跡の寺院 アンコールワット~クメール王国の栄光~」を見て、合点がいった。制作は韓国EBSだとか。
単純化していうと、石の寺院は中央(内部)から建造が始まり、外へ、外へと造営されていった。積み上げられた砂岩の壁面にはレリーフが施されるだけの厚みがあった。
レリーフが延々と続く回廊を見た限りでは、レリーフを施されたパーツ(一つひとつの砂岩)が精妙に壁面に組みたてられたのかと思ったが、組み立てられたあとにレリーフを施したことを知る。その方が合理的だし、レリーフのつながりに狂いがない。
生身の人間の「アプサラダンス」は、レリーフ以上の深みがあった。この踊りの特徴は手足の動きの優雅さ、しなやかさだろう。その象徴が反り返る指の動き、とみた。踊りを見ながら自分の手の指を反り返らせようとしたら痛いだけだった。小さいころから訓練しないと無理、ということだった。
この伝統芸能も、ポルポト政権時代には消滅の危機に瀕した。大虐殺からかろうじて生き残った踊りの教師が必死になって復活したのだと、なにかに書いてあった。福島に住むわれわれにとっては希望のダンスでもある。
0 件のコメント:
コメントを投稿