いわき市平と四倉の中間に住んでいる。いわき駅を中心にした旧市街に用があるときは「マチへ行く」といってしまう。マチとこちら(旧神谷村)を区切るのは鎌田山と、それに沿って大きくカーブする夏井川。
国道6号がマチとこちらをつなぐ。平鎌田交差点で旧国道へ右折すればすぐ旧市街に入る。そこで信号待ちのために停止し、なにげなく右手の丘を見たら、のり面のすぐ上、林縁に白っぽい点々があった=写真。写真を撮って拡大するとキノコだった。毒キノコの名前が頭を駆け巡る。シロタマゴテングタケ?ドクツルタケ?タマシロオニタケ? でも、柄にはつばがないような……。
常緑の照葉樹と落葉樹が混交する林で、丘の上には住宅が密集する。中学校もある。のり面の手前には横断歩道橋と、中学生が下校に利用するバス停留所。崖っぷちは危ないが、林内を巡ったらいろいろキノコに出合いそうだ。10日ほど前、郡山市立美術館の前山にイグチ系のキノコがいっぱい生えていた話を書いた。朝晩冷え込むようになって、秋キノコも出始めたのだろう。
シャグマアミガサタケ、ミヤマタマゴタケ、シロタマゴタケ、クサウラベニタケ、ツキヨタケ、テングタケ、ヒメベニテングタケ。キノコ観察会や単独の採集行で出合った毒キノコたちだ。さいわいこれまで救急車で運ばれるようなことはなかったが、チチアワタケを食べすぎて下痢したことはある。
不思議なのは、毒キノコのベニテングタケが欧米ではキノコの代表みたいに愛されていることだ。絵本やグッズによく登場する。幸福のシンボルらしいが、それは幻覚作用によるものなのか。一度はこの目で確かめたいキノコだが、芝山以外、シラカバ林のないいわきでは無理だろう。
奈良俊彦著『阿武隈のきのこ』には、場所は明かされていないがベニテングタケの写真が載っている。偶然、植えられたシラカバ林に出合った。「憧れのベニテングタケが目の前に現われたものであるから、大感激をしてしまった」。確かに、有毒とはいえ、いわきの人間には憧れのキノコだ(著者の故奈良さんとは一時期、いわきキノコ同好会でよく行動を共にした)。
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