きのう(9月3日)、ウラジオストクのことを書いたら、“余熱”がおさまらなくなったので――。
あしたは帰国という8月6日の晩、ウラジオの街なかで夕食をとった。ロシア極東5泊6日の旅の「最後の晩餐」だ。「キノコのスープで有名なレストランです」。ガイド氏のことばに内心ホッとした。
サハリン(樺太)では、日本語ガイドのワシリーさんとキノコ談議をした。キノコを口にすることはなかったが、森とキノコと人間の関係がよくわかった。
半分は内陸、半分はオホーツク海に面した国道を往復した。道沿いに、地元のおばさんたちが陣取り、モノを売っている。ある漁村の駅前では、漁師の奥さんと思われるおばさんたちがタラバガニを並べて客に応対していた。花を追ってミツバチとともに移動中と思われる一家のおばさんも、テントの前の道路でハチミツを売っていた。
もっと北の町では、小さなバケツに白いモミタケを入れて、買い手を待つ娘さんがいた。1キロ1000ルーブル、日本円でおよそ2000円だという。近くの林から採取したばかりにちがいない。
サハリンで人気のあるキノコはヤマドリタケモドキだと、ワシリーさんはいう。イタリアでは「ポルチーニ」、フランスでは「セップ」、ドイツでは「シュタインピルツ」と呼ばれるヤマドリタケの仲間だ。ほかに、ハナイグチ、アンズタケ、エノキタケ、タマゴタケ、タモギタケ、オオモミタケなどの食菌が採れる。
シイタケも発生するという。南洋上空に漂っていたシイタケの胞子が、台風の背中に乗ってサハリンまで運ばれたか。シイタケの北限だろう。
ワシリーさんは「チシマザサが生えるとキノコは出ない」といった。日本でも事情は同じ。キノコ採りは、ササの生えた斜面は素通りする。
キノコスープ=写真=の話に戻す。レストランの名前は「ポルト・フランコ」。マッシュルームが主体らしかった。それ以外のキノコも入っていたと思うのだが、よくわからない。日本、特に栃木県ではチチタケを炒めて出汁をとる「ちだけうどん」が好まれるが、その出汁に似た味のスープだった。ボルシチではないというだけで目が喜び、舌が躍った。
0 件のコメント:
コメントを投稿