きのう(11月13日)の日曜日は前日以上の好天になった。日の出から日の入りまで風もなく、雲もない日本晴れ。こんな上々の小春日はそうない。
久しぶりに朝から夕方まで、夏井川渓谷の隠居で過ごした。広葉樹は紅葉のピークを過ぎた。目を凝らすと葉を落とした木々が少なくない。が、全体的にはまだ黄~紅に染まっている。カエデの紅葉はこれからが本番。その点では、まだまだ紅葉が楽しめる。
カエデの紅葉目当てのアマチュアカメラマンが、朝から渓谷の道路に陣取っていた。行楽客も昼に近づくにつれて多くなった。それと併せるように路上駐車も増えた。が、震災前に比べたらかわいいものだ。原発事故の影響だと思うが、春のアカヤシオ(花)、秋の紅葉ともに、路駐の車が数珠つなぎになることはない。
隠居の隣は「夏井川渓谷錦展望台」。土地の持ち主が空き家を解体・更地にし、谷側の杉林を伐採して、四季折々のビューポイントにした。マイカー客にとっては、車を止めて景色を堪能できる新スポットだ。この展望台の開設も路駐の減少に貢献している。
昼前、地元の小川町商工会主催「小川町バスツアー撮影会」の一行がマイクロバス2台で展望台を訪れた=写真。運転手さんによると、背戸峨廊(せどがろ=夏井川支流・江田川)~夏井川渓谷~天狗の重ね石(夏井川渓谷で本川に注ぐ支流・中川渓谷にある奇岩)~江田駅前の地区集会所で昼食~草野心平記念文学館というルートで、小川の撮影ポイントを巡った。
小川はしかし、それだけではない。もっと奥がある。草野心平のいう「裏二ツ箭」(二ツ箭山の北側)を横目にしながら、峠を上って下ると戸渡地区に出る。「もうひとつの小川」だ。国道399号、内倉湿原、七曲がり、十文字、盆地、……。
今は廃校となった戸渡分校の児童たちと現天皇・皇后両陛下との、ヤマユリを介した交流も土地の歴史に刻まれている。そちらでもぜひ「バスツアー撮影会」を実施してもらいたいものだ。
戸渡地区は、原発事故直後は放射線量が高かった。当時、戸渡に住んでいた知人の計測で旧戸渡分校は毎時1.6マイクロシーベルト、なかには3マイクロシーベルトのホットスポットもあった。知人には「ユートピア」だった場所が、原発事故後には「ディストピア」に変わった。
いわき市内に設置されたリアルタイム線量計によると、旧戸渡分校は現在、0.186マイクロシーベルト前後。セシウム134が2年余りの半減期を過ぎたことと、同地区の除染作業が終わったことで、市内他地区とそう変わらないレベルまで改善された。
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