ゆうべ(11月14日)は、68年ぶりに満月が地球に最接近する「スーパームーン」だというので期待していたが、朝から曇天だった。夕方も、夜もだめ――と思っていたら、8時すぎ、フェイスブックで満月の写真がアップされているのを知った。すぐ庭へ出た。満月がぼんやり宙に浮かんでいた。小雨もぱらついてきた。
きょう(11月15日)は満月に続く「竜胆(りんどう)忌」。といっても、勝手にわが家で決めているだけだが――。
昭和61(1986)年3月、いわき市は「非核平和都市」を宣言する。市民有志が中心になって短期間に6万人近い署名を集め、市議会に請願して全会一致で採択された。このとき、市民運動の事務局長を務めた年長のドクターと知り合い、自宅を訪ねて酒を酌み交わすようになった。
ドクターは14年前のきょう、七五三の日に亡くなった。命日には自宅を訪ねて焼香することにしていたが、震災から3年後、奥さんが東京の息子さんの近くへ引っ越した。庭が広かった。夏にはホタルブクロが、秋にはリンドウが咲いた。両方を株分けしてもらい、わが家の近くの故伯父の家の庭に移植したら、根付いた。
さて、ドクターが生きていれば、能書きをたれながら辛み大根を進呈するところだが――。
夏井川渓谷にある隠居の庭の菜園で、会津の辛み大根を栽培している。採種用に越冬させた株から種の入ったさやがこぼれ、月遅れ盆のあとに発芽した。おとといの日曜日、今年(2016年)初めて収穫した。いや、「初採取」した。直径5センチ、長さ15センチほどの「ずんぐりむっくり」形だ。
去年は土を耕してうねをやわらかくしたのが裏目に出た。ストレスがなかったせいか、根は細く長く伸びた。それでは「大根おろし」にならない。手をかけすぎて失敗した。今年は耕さずに種をまこうと思っていたら、「ふっつぇ大根」があらわれた。十数株ある。
ゆうべ、さっそくおろして口にした。思った以上に辛い。大成功だ。口に入れるとすぐ辛み成分が舌を刺激し、揮発して口の中に広がる。でも、単品では辛すぎて酒の肴には向かない。心臓がドキドキしそうだった。会津ではそばの薬味にする。ハンバーグやパスタの薬味にどうか――などと、あれこれ食べ方を考えたが、食の想像力が創造力に追いつかない。なにかいい手はないものか。
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