いわきの山里では、11月に入ると霜が降りる。小春日の日曜日(11月13日)朝もそうだった。夏井川渓谷にある隠居の庭の草が日光を浴びてキラキラ輝いていた。アカツメクサの葉の表面にはこまかい水滴が付着している=写真。未明に降りた霜が朝日に暖められて溶け、蒸散して、消えかかっていた。サンダルで歩くと靴下が少し濡れた。
隠居で週末だけの家庭菜園を始めたころ、秋に大根を栽培した。初冬、菜園に霜が降りた。ふだんは宙に浮いている大根の葉が地面に倒れていた。畑に日が差し込むと、霜が溶けて大根の葉がピクン、ピクンと立ち上がる。葉っぱのダンスだ。うねのあちこちでピクン、ピクンが続いた。
植物の生理は不思議に満ちている。白菜苗をわが家で育てたときのこと。ちょっと油断すると、ポットの土が乾いて白くなる。苗がすぐしおれる。放置したら枯れるので水をやる。しおれた葉は水を含むと劇的に復活する。のどの渇きをおぼえた人間が水をゴクゴク飲むように、根から茎へ、茎から葉へ、葉の隅々へと水分が行き渡る。しおれていた葉がピクン、ピクンと痙攣したように動き出し、立ち上がるという点では、霜が溶けた大根の葉と同じだ。
きょう(11月17日)も、霜注意報が継続している中で夜が明けた。放射冷却で寒い。この時期、畑の白菜やネギは凍結を防ごうと糖分を蓄えて甘くなる。糠漬けから白菜漬けへ――わが家の漬物も切り替え時期がきた。そろそろ山里の直売所へ白菜を買いに行かなくちゃ。
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