夏は、いいネギに出合ったことがない。ネギは冬に限る。加熱すると甘くてやわらかい。しかし、冬ネギがすべて甘くてやわらかいかというと、そうでもない。
私は白根も葉もやわらかいのを好む。見た目はテカってきれいだが、かたくて甘みも弱い、そんな品種は避ける。で、ネギだけは産地を選び、自分でも栽培するようになった。
きのう(11月6日)、福島県田村地方の「曲がりネギ」を久しぶりに手に入れた。夏井川渓谷のJR磐越東線江田駅近く、県道小野四倉線沿いに小野町のNさんが紅葉のシーズン、露地の直売所を設ける。曲がりネギと長芋を売る。今シーズン初めて店を開いた。
朝9時、わが家のある平・神谷で「市民歩こう会」の出発式が開かれた。午後1時、小川の草野心平記念文学館で吉野せい賞表彰式が行われた。合間の10時ごろ、渓谷の隠居へカミサンを送り届けた。
きょうは直売所を開くはず――期待して渓谷に入ったら、Nさんのお母さんと奥さんがパイプ小屋にブルーシートをかけていた。
いつだったか、Nさん夫妻がパイプで四角い小屋の骨組みをつくっていた。で、開店は時間の問題とみていたが、10月後半になってもパイプのままだった。準備だけは早めにして、店はカエデが色づき始める11月になってから、ということだったのだろう。
開店前だったが、無理を言ってネギを4キロ(40本ほど)、長芋を4本買った。ネギは前日に掘り起こしたばかりだという。「一度干した方がいい」というので、隠居の庭に並べた=写真。水分を飛ばすことで甘みが凝縮されるのか。自宅の庭に穴を掘って土をかぶせておき、必要な分だけ取って使う。かなり持つ。
Nさんのネギも郡山市のブランド野菜「阿久津曲がりネギ」と変わらない。何年か前、「阿久津からネギ苗を買ってくる」といっていた、まずはジャガイモと曲がりネギの味噌汁だ。この「ジャガネギ」でネギのうまさ・香りの濃淡がわかる。「阿久津曲がりネギ」は師走に入ってから、郡山市に本社のあるスーパーに並ぶ。これもとろけるくらいに甘い。
味蕾が、生まれ育った中通りのネギの味を記憶している。それで、冬はこういう買い方になる。
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