2016年11月28日月曜日

いわき学博士号授与式

 いわき地域学會が主催した「いわき学検定」で1、2次試験を突破した5人の「博士号授与式」が土曜日(11月26日)、いわき市生涯学習プラザで開かれた。
 在野の団体が「いわき学博士号授与」だって?となるかもしれないが、そこはいわきならではの事情がある。4年制大学がいわきにできる前、主に在野の研究者が集まって、いわきを総合的に調査・研究する団体・いわき地域学會が発足した。以来30年余、調査報告書や一般向けの単行本を多数刊行してきた。このごろ目にする「地域学」や「地元学」のさきがけ、といってもよい。
 
 アカデミズムと通底しつつ、30年余のいわきの「民間学」の成果をまちづくりに生かそう――そんな視点で始まったのが「いわき学検定」だ。行政が実施してもいい事業だが、いわき地域学會で実施するところがいわきらしいと、私は思っている。
 
 狙いは単純だ。「学ぶ・わかる・楽しむ」体験を通じて、「わがまち・いわき」の魅力を知り、まちづくりや観光に生かしてもらう。単に知識を深めるだけ、というのでもいい。私の体験でいえば、「楽しむ」の先には「好きになる」がある。地域学會の初代代表幹事・里見庫男さんがよく言っていた「郷土愛」がおのずと形成される。
 
 今年の「博士号」は、市職員(女性)、観光まちづくりビューロー職員(女性)ほか3人に贈られた。最高齢は生涯学習の見本のような77歳だった。市職員は趣味で挑戦したという。ビューロー職員は観光案内という仕事柄、プレッシャーがかかったにちがいない。ビューロー職員が受賞者を代表して謝辞を述べた。「この1年間、さまざまな地域学講座を受講した。学生時代より勉強したかもしれない」
 
 市長からも来賓を代表して祝辞をいただいた=写真。いわき市は今年(2016年)、市制施行50周年を迎えた。主に公民館や支所の事業として、旧市町村単位の「好間学」「内郷学」「常磐学」などが展開されている。「小名浜みなと学」も始まった。
 
 地域には地域の歴史がある。「平学」や「勿来学」といったものから、さらにもっと身近な「○○学」(たとえば、旧・旧市町村単位の「神谷学」「平窪学」のようなものだろう)があってもいい(市長)――そこまでいけば、いわきは名実ともに「地域学の盛んなまち」になる。

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