2018年11月27日火曜日

渓谷の露地売りゴボウ

 夏井川渓谷の紅葉が見ごろになると、JR磐越東線江田駅前にテント村ができる。ちょっと離れた道路沿いにも、田村郡小野町のNさんが日曜日、露地の直売所を設ける。
 拙ブログで、今年(2018年)の紅葉が始まった10月下旬、Nさんがパイプの支柱を立てた、長芋と曲がりネギが並ぶ――と書いた。が、さっぱりNさんの姿を見なかった。

 日曜日は朝9時ごろ、渓谷の隠居に着く。Nさんはまだ来ていない。帰りは、遅くとも午後3時ごろには直売所の前を通る。それでも、直売所にはパイプの支柱が寂しく立っているだけだった。

 おととい(11月25日)朝、出かけたら、江田駅前のテント村はすでに今季の営業を終え、撤収していた。午後1時前、内郷の「しらみずアーツキャンプ」へ向かうため、江田駅近くを通ったら、直売所に人が群がっていた=写真。

今季初めてNさんと言葉を交わす。「ネギは?」。こちらの顔を思い出したのか、<ああ>とうめいて、「持ってこなかった」。「きょうが初めて?」「何回も来てますよ」。遅く着て早く帰るのだろう。

私は「三春ネギ」を栽培している。それも収穫期に入ったが、ほかのネギも食べたい。Nさんの曲がりネギは、あれば袋ごと20~30本は買う。

短い会話ながら、10年以上のやりとりからわかったことは――。Nさんのネギは郡山市の阿久津曲がりネギと同じ苗だ。甘くてやわらかい。Nさんは勤め人。栽培の主力は両親だった。おととし(2016年)は秋に父親が入院したとかで、直売所も1回か2回オープンしただけだった。去年は母親が腰を痛めて、直売所に出すほどのネギの量を栽培できなかったらしい。

今年も、母親と奥さんの具合がよくない、という。ナガイモとゴボウが並んでいるだけだった。カミサンが袋にいっぱい入ったゴボウを買った。ネギを持ってこなかったおわびの意味もあるのか、安くしてくれた。

生産者が年をとって病気になる、あるいは亡くなる――となれば、栽培量も品種も減る。栽培そのものが終わってしまうこともある。「来年はネギを持ってきますよ」といわれても、「二度あることは三度ある」かもしれないし……。師走に入ると、郡山市が本社のスーパーに阿久津曲がりネギが並ぶ。それを待つしかないか。

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