おととし(2016年)の8月初旬、高専の同級生4人でロシアのサハリン島(樺太)とシベリア大陸(ウラジオストク)を観光した。ウラジオでは、日本語ガイド氏からたびたび「ダーチャ」という言葉を聞いた。家庭菜園付きのセカンドハウスだという。庶民が当たり前にダーチャを持っているともいう。
そのとき、拙ブログにこんなことを書いた。――ウィキペディアによると、ダーチャは、第二次大戦後の食糧不足対策として市民に土地を与えるよう、州政府や国に要求する運動が起きたのが始まり。ピョートル大帝が家臣の貴族たちに菜園付き別荘を下賜したことに由来するそうだ。
広大な平原を貫く道路の左右にときどき集落が現れる。なかには都市部の市民が週末を過ごすダーチャ群だったりする。特に夏場は盛んに利用される。ソ連崩壊後はダーチャの売買も行われ、豪華な家も建つようになったのだとか――。
ダーチャという言葉が4人の脳髄に染みた。夏井川渓谷の隠居に仲間が集まって飲み会をやる。その隠居がまさしく「ダーチャ」だと。
日本では、家庭菜園は趣味の世界に入る。が、ロシアでは生存のために必要なものだった。そう思っていたが……。所有者の妻がいう。ウラジオストク大の事務職員だ。夫は建設会社の社員。「市場で野菜を買う方が簡単で安いのよ」=写真上1。
これには笑ってしまった。同じではないか! わが隠居の菜園でつくる野菜も、肥料だ、なんだとカネがかかる。「経済」だけだったら、やっていられない。それを、ウラジオの夫は「魂」という言葉で表現した。週末、ダーチャで過ごすことが自分自身を取り戻すことになるのだ、という意味だろう。
そのダーチャには電気もガスも水もない。しかし、新鮮な空気がある。水は、湧き水を汲みに行く。洗い物は雨水を利用する。そのための「天水桶」があった。ガスは携帯ボンベを持ち込んで対応している。電気は、自家発電? 冬場は、渓谷の隠居がそうであるように、地面がカチンカチンに凍るはず。なにせシベリア大陸の東端だ。ダーチャが「サマーハウス」でもあるのは、冬には土いじりができないからだ、きっと。
夫婦がつくっている野菜はトマト、ナス、ニンジンなど。ベリーも栽培している。細長いインゲン=写真上2=がアップされたときにはビックリした。「十六ささげ」ではないか! 「十六ささげ」はどこから来たのだろう。
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