2024年2月6日火曜日

昔野菜フェスティバル

   
                    

文学とキノコと昔野菜……。私は、いわき地域学會、いわきキノコ同好会、いわき昔野菜保存会の3団体に所属している。

 何かを専門に調べているわけではない。それぞれのコミュニティに加わって学ぶ、それによって多様な視点からいわきを知る――。現役のころはそうして新聞コラムを書いてきた。

片仮名の用語を使えば、インプット(集合知の吸収)があって初めてアウトプット(発信)が可能になる――そんなところだろうか。

 近代詩を軸にしたいわきの文学、ふるさと・阿武隈高地の食のシンボル「いのはなご飯」(コウタケの炊き込みご飯)、夏井川渓谷の隠居で栽培している昔野菜「三春ネギ」。これが三つの団体にかかわるきっかけでもあった。

 その一つ、いわき昔野菜保存会の第11回フェスティバルが土曜日(2月3日)、中央台公民館で開かれた。

 第1回は東日本大震災の1カ月半前に開かれた。毎年開催しているので、ほんとうなら第14回になるのだが、コロナ禍で中止した年もあるので回数は合わない。

 6回までは市が主催した。平成29(2017)年の第7回からは、事業を受託してきた企業組合が事務局になり、市民団体=いわき昔野菜保存会が主催している。

当時、こんなことをブログに書いた。――原発震災をはさむこの6年の間に、昔野菜(在来野菜)の栽培者(生産)~料理人(加工)~市民(消費)のネットワークが生まれた。種をもらっていわき昔野菜を栽培する消費者も増えた。

 いわきの食文化に新しい光がさしつつある、行政と市民の協働が着実に根づきつつある、という確信をいだきはじめたところへ、次は経済団体によるビジネス化だと、市は事業の“ステップアップ”を打ち出した。

せっかくできた協働の芽を枯らすわけにはいかない。市民の手で種を次世代に伝える活動を継続することにした。

 生産~加工~消費のネットワークは震災を危機バネに、調査スタッフが現場で生産者と向き合い、信頼関係を築いてきたからこそできあがった。そのネットワークが生きた――。行政との決別宣言でもある。

 14回目の今年(2024年)は、映画「おだやかな革命」上映、もちつきワークショップ(その後の試食=写真)、座談会、種の交換会が行われた。

 スタッフとしては朝9時前から午後4時まで、そのあとの懇親会を加えると、ざっと一日がかりの一大イベントだった。

 私は座談会を担当した。昔野菜保存会の佐藤直美会長をコーディネーターに、フリーライターの寺尾朱織さん、大久じゅうねん保存会の佐藤三栄さんと3人で食や農、種について語り合った。

私が強調したのは、①単なる消費者に終わらず、小さくてもいいから家庭菜園を楽しむこと。そうすると「プロシューマー」(消費者にして生産者)として、食や農、種の本質が見えてくる②食文化は風土と結びついている。風土はフード――主にこの2点だった。。

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