2024年2月3日土曜日

エレンを確認

                      
 日曜日は夏井川渓谷の隠居で過ごす。1月21日は嵐だった。行くのをあきらめた。1週間後の28日は曇天で風もない。ゆっくり隠居へ出かけた。

 昼食は街で――。1時過ぎには隠居を離れた。ハクチョウが越冬している小川町・三島地内の夏井川には、15分ほどで着いた。

 おや? ガードレールから眼下の夏井川を見ている女性がいる。もしや「白鳥おばさん」では? 山側に車を止めて声をかけると、そうだった。

 えさをやり終えたところだった。白鳥おばさんとはそこで出会い、拙ブログを転載している古巣の新聞社を介して、電話がかかってくるようになった。

 令和3(2021)年の春、ハクチョウたちが北へ帰ったあとも、三島に1羽が残留していた。隠居への行き帰り、このハクチョウを観察し続けた。

 6月中旬の日曜日早朝。家を出て三島に着くと、ガードレール越しに眼下の残留コハクチョウを見ている女性がいた。白鳥おばさんだった。

えさの玄米をやり終えたばかりだという。白鳥おばさんはコハクチョウに「エレン」という名前も付けていた。

10月に入ると、再び北からコハクチョウが渡ってきた。飛来を告げる電話に続いて、11月にもうれしい知らせが届いた。

「エレンが飛べるようになった。声をかけると、仲間と一緒に飛んで来る。来春はみんなと北極圏へ戻れるんじゃないかな」

ところが残留から1年、エレンだけが三島にとどまった。一時、幼鳥がエレンのそばにいたが、1カ月後には姿を消した。

そのあとの大水で、エレンは夏井川右岸の梨選果場あたりまで流される。8月に入るとまた白鳥おばさんから連絡があった。エレンの姿が見えなくなった。

そして、今シーズン。去年(2023年)10月17日、ハクチョウがわが生活圏に現れた。それを告げるブログに「エレンは、今はどこにいるのだろう」と書いた。

そのブログがいわき民報に転載された。すると、年末に白鳥おばさんから電話がかかってきた。「エレンが戻ってきた。ずっと見てきたので間違いない」

それから正月を迎え、隠居からの帰りに三島橋を渡って車を止め、河川敷に出た。若い親子がハクチョウやカモたちにパンをちぎって与えている。エレンはもちろん、どこにいるかわからない。

そうしたなかで1月28日、久しぶりに白鳥おばさんと会った。エレンがどこにいるか教えてもらう。それがこの個体だった=写真(カミサンが撮影)。

コハクチョウのくちばしは根元が黄色くて先の方が黒い。黒い部分に比べたら、黄色い部分は半分以下だ。それでオオハクチョウと区別する。

上のくちばしが付け根まで黒いタイプもいる。エレンがそうだ。しかも、その付け根の黒い部分に黄色い斑点がある。

あとでエレンが単独でいたときの写真を見ると、同じところに黄斑があった。この黄斑が、私のなかではエレンである決め手になった。なんという「奇跡」だろう。

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