「定点」ならぬ「定線」観測をしていると、「あれっ、これは……もしかして」と思うことがある。
たとえば夕方、平の街から帰るのに夏井川に架かる平神橋を渡り、大学のある丘(鎌田山)のふもとを回って堤防へ出たとき。
堤防に沿って伸びる電線に続々とカラスが現れては止まる=写真。ねぐらは別にあって、そこへ戻る前に一休みをして「会議」を開いているような雰囲気だ。
前からそうだったかもしれない。が、前はこんなに止まっていなかったような……。もしかして、そばの河川敷にあったヤナギとヤマザクラが切り倒されたからではないのか。
4年前の令和3(2021)年2月3日にそのことを書いたブログがある。要約して再掲する。
――河川敷に1本しかないヤマザクラがある。夕方、カラスがねぐらへ帰るときの休み場=ヤナギの大木もある。
令和元年の台風19号が平・平窪地区を中心に甚大な被害をもたらした。再び人命と財産が失われないようにと、夏井川の河川敷の除草・伐採・土砂除去が行われた。このヤマザクラとヤナギの木も伐採された。岸辺の畑には重機が入った。
ヤマザクラは自生だろうか、だれかが植えたのだろうか。花が先に咲くソメイヨシノと違って、葉と花が同時に開く。
地味だが、咲き始めにほんのり赤らむようなたたずまいのヤマザクラが好きだ。街場にあって、それなりに生長したこの木は、特に「気になる木」だった――。
その後、わが生活圏(夏井川左岸地区)では、工事は対岸、新川合流部から上流・北白土の間で行われた。
そちらが終わったために、今度はこちら側、左岸・鎌田から下流に向かって工事が始まった。
ここは、ダンプカーが岸辺を移動するには狭すぎる。そのため、浅瀬に石を投入して仮設道路をつくり、堤防から岸辺の間で除伐、土砂除去が行われている。
場所からいうと、ヤマザクラとヤナギが伐採された場所からちょっと下流になる。工区の関係で重機が入るのが今になったのだろう。
カラスは工事が始まる前も、ヤナギの大木のほかに電線で一休みをしていた覚えがある。休み場である大木が消えても、「群れの記憶」は生きているのだろう。
平の市街は鎌田山が壁になり、平神橋(と平大橋)が東からの入り口になる。市街の先、西方には衝立(ついたて)のように山の稜線が伸びる。湯の岳から三大明神山などだ。
平神橋の東たもとには送電鉄塔が立つ。その電線にも、夕方になるとカラスが現れて、ほぼ等間隔に止まる。
ねぐらはどこにあるのか。これは勝手な想像だが、市街地から見える西方の山々ではないのか。
街の上空を横切るにはそれなりに体力がいる。一休みをして、それからねぐらへ向かう。集団で休んでいるカラスを見ると、いつもそんなことを思い描く。
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