日曜日に目当てのカフェが休みだったので、別の店で昼食をとった。量としては中くらいのハンバーグ定食を頼んだ。味噌汁が付いてきた。
汁をすすったとたんにうなった。「しょっぱい」。外食店だから、誰もがしょっぱさを感じる味噌汁を出すはずがない。そこはあんばいよくまとめているはずだ。
としたら、こちらの味覚が変わったのだ。カミサンも塩分が濃いように感じたらしく、私の反応に同意した。
理由は簡単だ。というより、はっきりしている。わが家の味噌汁=写真=がうす味になってからだいぶたつ。
わが家はうす味に切り替わったが、世の中の味噌汁は平均的な塩味で、その違いが出たのだろう。
義弟が隣家に住んでいた。朝昼晩とわが家で食事をとった。慢性心臓病のクスリのせいで塩分を制限しないといけなくなり、カミサンが味噌汁をうす味にした。
うす味の味噌汁に切り替わったのはいつだったか。記憶がはっきりしないが、だいぶたつ。
最初はまったく舌になじめなかった。今ではすっかり慣れた。「うまい」とはいえないが、「まずい」とは思わなくなった。
去年(2024年)の7月、脳梗塞予防の心臓手術で1週間ほど入院した。慢性の不整脈と高血圧のために、食事は「塩分制限食」になった。味噌汁も、漬物も出なかった。
退院して一番うれしかったのは、味噌汁と漬物が復活したことだ。義弟に合わせた減塩味噌汁でも、あるだけありがたい。「全くなし」では食べる楽しみが半減する。
義弟は病院とデイケア施設に通っていた。それが11月初めに亡くなった。うす味の味噌汁はしかし、その後も続いている。
義弟の症状は私の体を映す鏡のようなものだった。心臓病だけでなく、糖尿病になったら、どんな症状があらわれるのか、そのときどう対処したらいいのか。
クスリは、血糖値は、そしてインシュリンは、ぶどう糖は……。義弟が病院から持ち帰った薬を振り分ける姿を見ているだけでも頭がこんがらかりそうだった。
若いときには体そのものに復元力があった。義弟も、私も、年をとって基礎疾患を抱える身になった。
今はクスリの力を借りて症状を抑えている。義弟はそれがかなわなかった。そのことも教訓としなければならない。
外食店の味噌汁を「しょっぱい」と感じたのは、むしろ減塩化がプラスに作用した証拠だろう。
ついでにいえば、退院からざっと半年、断酒を続けている。「かかりつけ医院へ戻っていい」といわれるまでは――。それが目安だが、断酒が当たり前になったら、晩酌の楽しみはなくなる。
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