去年(2024年)の夏は、コップに氷を浮かべて冷えた水を一日に何回も飲んだ。そうしているうちに、少しずつ飲み方が変わっていった。
最初はゴクゴク連続して飲み干すようにしていたのが、いつからかひとくちずつゴクンとやって、水が食道を下っていくのを確かめるような飲み方に変わった。
すると、なぜだか知らないが、いつもの水道水なのに「冷たくてうまい!」と感じられるようになった。
はじめは、のどを潤すだけでなく、内部体温を下げる目的があった。が、「うまさ」を知ってからは、味覚を優先してゴクンとやるようになった。
酷暑の夏がそのまま秋になって、歯の治療が始まった。歯医者通いは今も続いている。
75歳と80歳を対象にした無料の歯科口腔健康診査の通知も届いたので、併せてチェックしてもらった。
そのときに、年寄りは誤えん性肺炎(歯周病菌が肺の中に入り込み、炎症を起こす)になりやすいことを知った。飲食物が食道ではなく、誤って気管に入り込むとそうなる。
原因は老化や脳血管障害などによる飲み込み機能の低下、セキをする力の低下など、だという。
水の飲み方がゴクゴクではなく、ゴクン、そしてまたゴクンとなったのは、誤えんを意識してのことではなかった。
が、ゴクゴクと連続してやっていると、たまにむせることがある。食事中もそうだ。で、生理的な反応としてゴクゴクからゴクン、ゴクンに変わった、という面はあるようだ。
でも、なぜ「うまい!」と感じたのだろう。味覚には甘味・酸味・塩味・苦味・辛味などがある。
味覚は味蕾で感じていて、舌のどの部分でもまんべんなく味を感じるそうだが、「うまさ」はどうも舌の奥、のどの方で感じているようだ。
飲み方を確かめた。口に入れた水を、舌で押し込むようにして奥に流し込む。それからのどでゴクンとやる。このとき、あごは引きぎみにしている。
水やお茶だけでなく、牛乳=写真=も、乳酸飲料も、少しずつ何度かに分けてゴクン、そしてまたゴクンとやると、回数だけうまさを経験することができた。
自己流かもしれないが、あごを引いて、少量をゴクンとやっている限りむせる心配もないようだ。
味覚から離れて使われる「味」がある。たとえば、「先味(さきあじ=前味)・中味(なかあじ)・後味(あとあじ)」。
比喩的には、何かが終わったあとにあまりよくない印象が残ったりすると、「後味が悪い」という。
が、お茶や水のゴクンはたとえではなく、文字通り「後味」がいい。この年になって知った飲み方、といえばいえるか。
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