2025年10月25日土曜日

キノコには骨がない

                               
   ちょっと旧聞に属するが、キノコのことなので、備忘録として――。晩酌をしながらテレビのニュース番組を見ていたら、「10月15日は『きのこの日』です」という。

10月15日がなんで「きのこの日」? あとで調べたら、日本特用林産振興会が1995年に制定した。

そのワケは、10月には野生のキノコが多く採れる。鍋物の季節を控えてキノコの需要が高まる時期でもある。月の半ばなら人々の暮らしもそうあわただしくはないだろう。

ということから、キノコの消費拡大や正しい知識の普及を目的に、10月15日を「きのこの日」に制定したそうだ。

私にとっては毎日が「きのこの日」である。というのは、味噌汁には必ずナメコを入れてもらうからだ。

そのナメコも、いつからか豆のような小粒ではなく、傘の開きかけた大きめのナメコを好むようになった。

一つには、東日本大震災と原発事故以来、いわきでは野生キノコを食べたり、出荷したりできなくなったことが大きい。

栽培ナメコが、慣れ親しんできたウラベニホテイシメジやタマゴタケ、ナラタケ、その他もろもろのキノコの舌ざわり・味・見た目の象徴になった。

野生のキノコと同じような大きさは無理にしても、それらを食べているような気分に浸るために――というわけである。

1週間、あるいは10日にいっぺんくらいのペースでスーパーへ買い物に行く。アッシー君、そして買い物カート担当だ。店内を巡りながら、ナメコだけは私が買い物かごに入れる。

ナメコを好むもう一つの理由は、そのぬめり。ナメコはぬめりが強い。たいていは豆腐とナメコその他の味噌汁にする。味噌汁自体もナメコのぬめりが溶け出して喉ごしがいい。

ぬめりの正体は粘液多糖体。食物繊維のひとつで、胃や鼻の粘膜を丈夫にするらしい。ナメコ自身の乾燥も防ぎ、防寒コートの役目も果たすという。

特に、今年(2025年)の夏は猛烈な暑さが続いた。晩酌時には、朝の残りの味噌汁も、前夜の残りの焼き肉も冷やして食べた。冷製焼き肉、冷製味噌スープである。

味噌スープに入っているナメコの、キョロッとしたのど越しのよさ。これが、扇風機を強にしながら、汗ばみながら箸を動かす身にはとてもよかった。

 さらにもう一つ、最近思ったことだ。今年は久しぶりにサンマが豊漁だとかで、わが家にもお福分けが届いた。

 それこそ何年ぶりかで焼きサンマを食べた。次の日も、また次の日も出てきた。が、どうも箸が進まない。

 そのころには冷製ではなく、熱々の味噌汁が晩酌のおかずになって出た=写真。サンマを見ながら、味噌汁のナメコを口にしながら思ったのは、「キノコには骨がない」ということだった。これが、ナメコが好きな第三の理由。

※追記=最初、粘液多糖体をムチンと表記しました。「ムチンは動物性のもの」というコメントが入り、検索したところ、ナメコのぬめりは「ムチンに似たもの」で、「粘液多糖体」がより正確な表現ということでした。、「ムチン」を「粘液多糖体」に訂正しました。詳しくはコメントをお読み下さい。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

(速報)日本商工会議所(東京都千代田区) よりお詫びと訂正(2025年9月30日) - 公共メディアじゃんぬ –
「誌上セミナー 働き盛りが危ない! なぜ起こる!? おなかトラブル(月刊石垣2017年1月号)」において「ムチン」という表記がございましたが、「ムチン」は動物性のもので、植物には含まれていないとされており、当該表記が誤りであることが分かりました。お詫びして当該記事を削除いたします。
https://ab.jcci.or.jp/article/21192/


株式会社吉野家(東京都中央区) よりお詫びと訂正(2025年8月29日) - 公共メディアじゃんぬ –
昨日のリール投稿にて「ムチン」と表記しましたが、
植物全般は含まれないことが判明しており、誤りでした。
表記の誤りをお詫びするとともに、該当ページは削除いたしました。
https://www.instagram.com/p/DN7Nhy_iard/


京都大学医学部附属病院 よりお詫びと訂正(2025年3月21日)- 公共メディアじゃんぬ -
〔訂正〕
京大病院広報124号において、 オクラには、ムチンが含まれている旨説明しておりましたが、
オクラにムチンは含まれておらず、また、植物全般にムチンは存在しません。
誤った記述がございましたので、ここに訂正いたします。
【参考】公益社団法人 日本食品科学工学会『食品工業辞典』(日本食品工業学会編、昭和54年・第1版発行)における用語解説の訂正
https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/relation/publish.html

#じゃんぬねっと
#渡邊渚

匿名 さんのコメント...

(行政指導)東京都台東区生活衛生課医務薬事衛生担当が薬機法、保健サービス課栄養担当が健康増進法の観点から、株式会社浅草むぎとろ(東京都台東区雷門2-2-4)を指導しました(2024年7月31日)。


(重要)植物の粘性物質を「ムチン」と呼ぶことの起源や根拠について(2025年1月28日):
「ムチン(英:mucin)」とは、明治期以降に伝来した、動物の粘液の主成分(粘質物)を指す外来語である。
しかし、英和辞典がその語源とされる言葉「粘液(英:mucus)」の語釈として補説「(動植物の)」を付けたことから、ムチンもまた「動植物の粘液の主成分」と誤って解された。
この誤解を広めたのは、『広辞苑』で知られる岩波書店が戦前戦後に出版した『理化学辞典』、『生物学辞典』、『英和辞典』であったが、半世紀以上も前の1970年代に訂正が行われていた。
https://jeanne.jp/suifu_court_iwanami_2023.1.23.pdf#page=5


(参考)動植物由来の「多糖」に関する科学的知見(2025年2月28日):
多糖化は、エネルギーとして用いられない糖を安全に生体内に留置ないし生体外へ排泄する動植物体共通の生理現象である。


(訂正報道)日本放送協会 よりお詫びと訂正(2024/02/16):
2023年7月28日および今年1月12日に放送した「なんでウナギはヌルヌルしている?」の内容に一部誤りがありました。
なめこ、オクラ、山芋などのヌルヌルした成分は、ムチンと呼ばれるたんぱく質だとお伝えしましたが、ムチンとは異なる成分でした。
かつては、植物性のヌルヌルした成分もムチンと呼んでいたこともありましたが、現在では、ムチンとは、動物性のヌルヌルした成分だけを指す、ということです。

チコちゃんに叱られる!
▽紙テープの謎▽冷やかしとは▽なぜ指揮棒を振る
初回放送日: 2024年2月16日

#公共メディアじゃんぬ
#訂正報道の専門メディア

https://www.nhk.jp/p/chicochan/ts/R12Z9955V3/
https://www.nhk.jp/p/chicochan/ts/R12Z9955V3/episode/te/K8KJ6NVJ6W/
[画像] https://jeanne.jp/nhk_2024.2.18.png