2025年10月1日水曜日

未明のオリオン座

                                 
   星空の写真を撮るウデがないので、星座のイラストを参考にスケッチしてみた=写真。

朝は、4時半には起きる。6月21日の夏至のころは日の出が4時17分で、外はすでに明るかった。

それから3カ月が過ぎた秋分の日、朝日が昇るのは5時23分と、夏至よりはざっと1時間遅くなった。

秋分の日から間もない9月24日未明、新聞を取り込みながら星空を見上げると、ほぼ南天にオリオン座があった。

スケッチでいうと点線で結ばれた星座で、これをこの秋初めて見た。以来、オリオンの確認が未明のルーティンになった。

真ん中の三つ星を延長した左下にシリウスが輝いている。太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星だという。

 オリオンの左上にあるペテルギウスと、その左先にあるプロキオン、そしてシリウスを結ぶ三角形(スケッチの実線)は「冬の大三角」と呼ばれる。

 北の星空で知っているのは北極星と北斗七星、南の星空ではこのオリオンと大三角ぐらいだ。

 床の間に画家松田松雄と書家田辺碩声が合作した色紙が飾ってある。書家の筆になる文章は私が書いた。

「金木犀の匂いと/駄菓子屋と/青白いシリウス/人は気圏の底に/うごめいて/中秋/立待ちの月」

 30代のころは、画家や陶芸家、書家、新聞記者、市職員などが個人の家に集まってよく酒盛りをした。

わが家でも「カツオパーティー」と称してカミサンのPTA仲間が加わり、大人たちが談論しているそばで子どもたちが遊び続けた。

新しく建てられた友人の家で飲み会が開かれたときには、無地の襖に画家が墨で絵を描き、私も即興で1行詩をつくり、書家がそれを絵に書き添えた。

合作した作品2点を額装した。そのうちの1点が床の間に飾ってある。灰色の空と、葉を落とした雑木の雪山、そのふもとを人間が一人歩いている――

秋の文章とはそぐわないが、シンプルで深遠な感じのする絵だ。シリウスは若いころから好きな星である。

去年(2024年)の吉野せい賞(正賞)に沢葦樹さんの「カノープスを見ていた少年」が選ばれた。カノープスは、いわきでは真冬、水平線のすぐ上に現れてすぐ沈む南の星だという。

いわきがカノープスの見える北限というので、カノープスもまたいつか観察してみたい星の一つに加わった。

ついでながら、若いころ取材を兼ねて平の草野美術ホールに入り浸っていた。そこで松田、田辺だけでなく、多くの画家と出会った。

額装された色紙は、今思えば30代前半までくっついていた青春の抜け殻のようなものだ。

先日たまたま駅前大通りから南町の通りに入って、草野美術ホールがあった3階建てのビルをながめた。事務所でよく酒を飲んだことを思い出した。

これは、いわば追記――。9月最後の日、目覚めが4時50分になった。急いで庭に出ると、空はうっすら青みがかっていた。シリウスだけがかすかに光っていた。夜明け前20分、わずかの時間で星は消える。

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