2020年1月12日日曜日

ボタニカルアート

 年明け後初めて出かけたいわき市暮らしの伝承郷で、たまたま居合わせた若い画家を紹介された。いわき市出身の大和田沙穂里(さおり)さん。ボタニカルアート(植物画)を手がけている。受付カウンターの前の即売コーナーに、彼女が描いた作品のポストカードとステッカーが展示されている=写真。
 壁に張られているプロフィールにこうあった。「樹木の生態と生命力に興味を持ち、樹木の生き生きとした佇(たたず)まいと樹皮が持つ皺やたるみといった樹木にしか持つことの出来ない表情に胸を打たれ、自身の作品モチーフを樹木に絞」り、さらに「植物を育て始めたことをきっかけにサボテンや多肉植物といった植物に魅了され、現在は植物画作品をメインに描」いているという。

 去年(2019年)はNHK「趣味の園芸」の<花遊美>のコーナーに出演し、ボタニカルアートの描き方を披露したそうだ。

 ポストカードには名前のよく分からないサボテンや多肉植物が描かれている。なかに、テレビの自然番組などでおなじみのウツボカズラがあった。

ウツボカズラは常緑・つる性の食虫植物で、袋の中に消化液があり、落ちてきた虫を分解して吸収する。ウツボカズラと同じくらいに魅力的な菌類がある。毒キノコのベニテングタケ。「キノコは描かないの」と聞くと、一瞬、虚を突かれたような表情になった。答えは「描いてません」。植物ではないから当然だ。

 ポストカードにはラテン語で学名も印刷されている。描かれたウツボカズラは、何種類もあるなかのひとつ、「ネペンテス ベントラタ」。ベニテングタケは「アマニタ ムスカリア」。キノコが登場する小説などで変な和名を使われるよりは、学名で記された方が種名を正確に理解できるときがある。ボタニカルアートも同じだろう。なにより学名の響きがおもしろい。

 伝承郷ではきのう(1月11日)、磐城平藩主安藤信正公生誕200年を記念する「磐城と日本刀展」が開幕した。そちらをのぞいたついでに、受付そばの展示即売コーナーへ立ち寄って、若い才能に触れてみてはいかが――。

0 件のコメント: