2020年1月10日金曜日

加路川に架かる橋

いわき市四倉町から小川町の丘陵を結ぶ「福島県広域農道」(約10キロ)は、小川の未開通部分で工事がピークを迎えつつある。
 同農道は夏井川渓谷の下流、高崎(小川)で県道小野四倉線に接続する。ここの工事現場には、「新しい農道を造っています」「新しい橋を造っています」という看板が立つ。「新しい橋」とは、県道とそれに並行するJR磐越東線に架かる跨線(道)橋のことだ。県道の両側が現場なので、通るたびに工事の進み具合がわかる。

 高崎は段丘上にある。その下流、扇状地のはじまる平地の片石田(小川)で、加路川が夏井川に合流する。県道に並行する磐東線の鉄橋のそばに、やはり「新しい橋を架けています」「新しい農道をつくっています」という看板が立つ。この鉄橋の奥でも高崎と連動して工事が行われている。平日はダンプカーが山中へと鉄橋をくぐって行く。

 工事が休みに入った年末、加路川の上流部で建設が進む橋と農道を確かめに行った。

 広域農道は、四倉・玉山の県道八茎四倉線が起点になる。すそ野に点在する家々の裏山を西北へ進み、標高200メートルほどの上岡トンネルを過ぎると、二ツ箭山に入る。そのまま西進して国道399号を横切った先、福岡(小川)の山中でブツリと道は切れる。これを終点の高崎までつなぐ工事が行われている。

 加路川を渡り、車1台がやっとという林道を上っていくと、伐採して見通しのきく場所に出た。東方に既設の広域農道が見える。スキーのジャンプ台のような下り坂だ、切り開かれたばかりのこちら側は上り坂。坂の底が垂直に切れるあたり、加路川には建設中の橋脚が三つ=写真。橋桁はまだ架かっていない。

地理院地図で想像したルートを現実の地形に重ね合わせ、アップダウンとカーブをこの目に焼き付ける。人や車や列車が行き来している平地からはほんの少し入っただけの、「ウラヤマの大工事」だ。新聞に「カメラアイ」のようなコーナーがあれば、格好の被写体になる。

ふもとの県道沿いの立て看には、橋の工期は「令和2年3月31日まで」とあった。今年度分は――ということで、来年度も工事は続くだろう。この「天空のハイウエー」が完成すると、わが家から夏井川渓谷の隠居へ向かう新ルートになる。

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