2011年8月25日木曜日
キャベツ泥棒
散歩コースは旧神谷村の一角。神谷は夏井川をはさんで西に位置する旧平市への野菜供給地だった。今も夏井川のそばでは主にネギが栽培されている。
夏井川と国道6号、国道6号と旧国道の間が宅地化するにつれて田畑が減り、すっかり住宅に囲まれた畑もある。
国道6号と旧国道にはさまれた、わが家の近くの畑にある日、札が立った=写真。「キャベツ泥棒発生 8月13日夜」と書かれた段ボールが竹の棒にひもで結わえてある。その一角では初めてのことだ。
川べりの畑に怒りの札が立ったことがある。3年前の4月中旬。「告!! 農作物を取るな ドロボーした作物旨いか 警察に通報してある 地主」。春だから、菜の花を摘み取ったのだろう。きのう(8月24日)朝、今はどうかと堤防から見ると、耕起してならされた、その畑のへりにやはり木札が立っていた。
デジカメで撮って拡大すると、「野菜泥棒」と墨書されている。わきの一行が雨でぼやけて読めない。「酒を持ってこい」と読めるが、まさかそれはないだろう。それらしい字を探ったら、「顔を知ってる」になった。この畑は被害が相次いでいるようだ。
立て札から、あれこれ犯人像を推測することはやめる。でも、栽培者の怒りはわかる。腹が立って、情けなくて、怒りをどこにぶつけていいかわからないのだ。
夏井川渓谷の無量庵で小さな菜園をやっている。畑の作物を取られたことはないが、被害はある。週末以外は留守にしているので、勝手に人が入ってくる。庭木の下に植えた葉ワサビを掘り取られ、今年は3・11以後、畑のへりに植えておいたタラの芽を切り取られた。
無量庵へはテンがやって来る。フンを残していくのでわかる。ノウサギも現れる。埋めた生ごみをあさるのはハクビシンか、タヌキか。四本足で歩行する生きものに荒らされたとしても、それはしかたないこととあきらめがつく。
が、二足歩行の生きものはちょっと違う。作物とそれを育てる栽培者への想像力をもっているはずだ。その想像力にふたをして欲望に走る。そういう品性に怒りが倍加する。人間という生きものは一面で度し難い。
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